前回投稿で、国内メーカのIPカメラ(Webカメラ)を、これは介護に向かないとか、向くとか勝手分類させていただきましたが、抜けている会社がありました。福岡本社のアルコム社です。防犯カメラ、監視カメラの通販の会社で、Panasonicや日立の同分野の製品の販売会社でもあるのですが、自社ブランドでの展開もされているようです。この会社の製品にRD-4355という機種があるのですが、見れば見るほど「徘徊検知」システムでよく見かける「デバイス」にそっくりなのです。
どこの会社の「徘徊検知」システムにRD-4355と似たカメラが組み込まれているとは申し上げませんが、調査用の外部リンク集に列挙した会社さんのうち、5社ほどで見つけることができました。介護/福祉用具系の会社さんのホームページなどでは、カメラのスペックなど詳細は書いていないことが多いため、介護、見守り用途で使われているカメラの仕様はどうなのか、今一つ分かっていなかったのです。まさか4K、8Kなんてことはないでしょうが、今時VGAということもないでしょう。それがRD-4355に関しては、「電子デバイス」として販売されているので、仕様などが明らかです。この際「そっくりのデバイス」が度々登場するRD-4355の仕様をもって現時点の「徘徊検知」システムのデファクト的なものと解釈させてもらうことにいたしたいと思います。
有線接続 | 100BaseTX/10BaseT |
無線接続 | WiFiのない旧型もある模様。現行機種はWiFi対応(詳細不明) |
イメージセンサ | 1/4 CMOS 102万画素x昼間用/夜間用各1 |
動画圧縮方式 | H.264 |
人感センサ | 焦電タイプと考えられる |
モーション検知 | 画像内の変化を検出 |
音声機能 | マイク、スピーカ搭載。外部スピーカ端子あり。 |
まず、接続方法なのですが、もともとは有線のEthernet接続であったようです。ホームページを拝見すると、どうもある時点からWiFiに対応した(しかし、製品型番はRD-4355のまま?)ようで、RD-4355のカタログなどではWiFiの記述が欠落していますが、ホームページ上は無線Lan対応を打ち出しています。そのためWiFiの対応規格がどこまでなのかは不明です。
そして肝心のカメラ機能ですが、「パン、チルト」対応とあります。多くのプロユースの監視カメラはPTZ(パン、チルト、ズーム)対応ですが、ズームが抜けています。Webカメラベースであれば、あえて本格的な光学ズームに対応せずともいいかという割り切りでしょうか。パン、チルトの範囲は水平方向180度、垂直方向90度でした。
イメージセンサは1/4サイズのCMOSイメージセンサですが、2個搭載という記述です。1個が昼間用、1個が夜間用とのことです。画素数は102万画素ということなので、画面サイズ的にはWide XGA 1280×800 (16:10)相当と思われます。当然、それ以下のサイズの低解像度に対応するようにコンフィギュレーション可能なようです。フレームレートは最大30fpsまで。
暗視対応ですが、赤外線LEDをOFFの状態で 0.2 Luxとあるので、満月の夜程度の明るさまで普通のイメージセンサで撮影し、それ以下では内蔵の赤外線LEDを点灯することで赤外側で撮影することになるようです。そのため、可視光的には0Luxでも撮影可能というスペックが書かれています。
動画の圧縮方式は H.264です。さすがにこの圧縮をやっているプロセッサ名までは書かれていませんが、RISCプロセッサ搭載だそうです。スマホ/タブレット系の一般的なアプリケーションプロセッサか、RISCコア混載のDSPがあれば、動画の圧縮と以下のような処理は皆できる筈。
人感センサは、写真形状から「焦電型」のセンサであると思われます。検知範囲は7mということになっています。またこの人感センサとは別に「モーション検知」という機能も含まれています。これは、撮影した画像をプロセッサで処理し、ある決めた範囲で画像が変化するのを捕捉することで「モーション」を検出するのではないかと推測されます。
また、マイク、スピーカも内蔵しています。このあたりは見守り用途(ペット、赤ちゃん、シニア)を考えると欲しい機能ですが、ピュアなプロユースの防犯カメラの多くでは不要かもしれません。
RD-4355のスペックを通じて、2018年末時点の介護向けWebカメラの仕様の標準的なものを理解させてもらいました。それでは良いお年を。