介護の隙間から(32) 電話機、見守り、撃退、大音量

JosephHalfmoon

一人暮らしの高齢者の見守りで、使われている装置の第一は電話だと思います。それも固定電話、やはり使い慣れた「電話」が良い。一方、一人一台スマホを持つ習慣の中で固定電話機のビジネスは退潮。結果、固定電話機を製造しているメーカー各社も「高齢者向け」をメインに据えて「残存」固定電話機市場に向き合っている、という状況でしょうか。「双方の需要がマッチ」し、最近の固定電話機、高齢者向けの機能が充実しています。ある意味「遠隔見守り」のハブ的な装置にも思えます。

さて、高齢者向けということで固定電話機にどのような機能を求めるものでしょうか。思いつくまま列挙してみます。

  1. 電話の呼び出しに気が付くように(耳が遠いのだけれど)
  2. 耳が遠くて話が聞き取り難いので受話音量なんとかしたい
  3. 緊急連絡を簡単にしたい(トイレ、お風呂も心配)
  4. 「振込詐欺」が心配

今回、固定電話機を未だに販売している以下の3社を調べたところ、3社とも固定電話機に上記の為、何かしらの機能を備えていることは確認できました。

シャープ

パナソニック

パイオニア(ブランドはパイオニアだが、実体はオンキョー)

また、固定電話機本体だけでは、ちょっと使いづらい部分を補うような補助的な装置も多数存在することも分かりました。

 

電話の呼び出しに気が付くように

見守りのために、実家に電話を入れたのだけれど、なかなか出てくれない。トイレにでも入っているのかも知れない、とは思っても、2回、3回と出てもらえないと心配になりますね。本当に問題があった場合は大変ですが、耳が遠くなったお年寄りの場合、電話の呼び出し音に単に気付かないだけ、という場合もあります。実際、テレビを見ていて(耳が遠いので音量大きい)、背中側に置いてある電話機が鳴っているのだけれどまったく気付かない(頭の後ろ側の音は特に聞こえが悪い)というケースは目撃したことがあります。そのため、高齢者向けの固定電話機がまず装備している機能として

大音量ベル と LED点滅

があります。しかし、頭の後ろは聞こえが悪い、といった方向性がある場合には、いくら音量あげてチカチカ光っても気付かないことになります。そういうケースでは以下のような補助装置の出番ということになると思います。

フラッシュベル(パイオニア)

電話機とは別に、ライト点滅とベルを鳴らすことができる装置です。

 

耳が遠くて話が聞き取り難いので受話音量なんとかしたい

固定電話本体の音量調整でもかなりなんとかなる部分は多いのではないかと思うのですが、そうでない場合、電話機本体と受話器の間に挿入する補助装置

受話音量増幅器

を使うことができると思います。これは、結構多くの会社から電話機用のアクセサリとして出ているようです。また、固定電話本体で「難聴用」といったタイプを販売している会社もあるようです。

 

緊急連絡を簡単にしたい

現在の固定電話機の多くは、DECT方式を使った親子電話機であるので、子機を何台か増設すれば、居間、寝室など、数部屋をカバーするのは簡単です。しかし、心配と言えば、トイレ、浴室、台所などで、何かあって電話機までたどり着けないような状態に陥ること。そんなとき、何らかの緊急通報をしたい。以前にも取り上げたようにそのための専用タグなどもありますが、せっかくDECTが使えるので、親機を介して自動通話を発信(予め登録した通話先に音声メッセージ送信)という方法が使える筈。

緊急呼び出しボタン(シャープ)

スペック見るとIPX4なので、水にどっぷりつかるような環境では駄目ですが、多少の飛沫くらいであれば大丈夫だと思います。心配な場所に設置しておくと安心かもしれません。CR系の電池で2年持つようなので、電池交換の手間もそれほどでないと思われます。

 

「振込詐欺」が心配

多分、固定電話で最大の心配毎が、これじゃないかとも想像されます。大問題なので、各社とも基本機能から充実しているものが多いです。基本機能は3点セットでしょうか。

  1. 掛けてきた相手に録音していると伝える
  2. 受話器をとるお年寄りに「振込詐欺に気を付けて」と注意を喚起
  3. 実際に録音

録音されたくない相手は1の段階で止めるので、抑止力があるでしょう。ただ親族や知り合いからの電話にイチイチこれを発動してしまうのも申し訳ないという感じもあり。ナンバーディスプレイの契約前提で(相手の番号を知らないとならないので)、発信元によっては上記の発動を抑える、あるいは、迷惑電話なので無音で無視などの付加機能が付いているのが普通だと思います。ただ、ここに若干問題あると思うのが、

迷惑電話、詐欺電話の撃退機能が充実しているほど、操作複雑になりがち

な点です。各社操作の簡単化に努力しているようですが、限られた電話機のボタンに機能を収納するのは難しい。そんなケースでは、単機能の

防犯用電話録音機

を併用する方が分かり易いかもしれません。相手に録音していると伝えた上で、録音するだけの単機能の装置なので、一度電話線に接続すれば特段の操作も要らず。これまた、各社製品がネット販売されているので直ぐに見つかると思います。また、その手の電話がかかってきたときに警察に相談するとそういう装置を一時貸してくれることもあるようです。実際、その手の装置を設置しただけで、頻繁にかかってきていた詐欺と思われる電話がピタリと止んだ、というケースも見聞きしました。

 

シンプル OR 多機能

最近の固定電話機本体は、高齢者向けの機能が充実し、ほぼ1台あれば上記のほとんどの機能をカバーできるものが多いように思われます。ただ、一点、問題を上げるとすれば、機能が豊富過ぎる点。分からない機能は使わなければ良いのですが、ちょっと心配なのが、

間違って変なボタンを押すとパニックになる恐れ

です。物を落とした、装置を落としたなど偶発的な事態で意図しないモードになったときに、受話器を戻しても通常状態にならないと高齢者自らが操作して復帰させることが難しいケースがあるのではないかと推測しています。しばらくにしても使えなくなると緊急時などは問題。その点、シンプルな電話機に、必要に応じて単機能の補助装置を取り付ける、という方法の方がとっさの場合にはトラブラないのかな、とも考えます。一長一短でしょうか。

 

最後に電子デバイス屋的な感想を一つ。固定電話機は、高齢者見守りの「ハブ」になり得る(なり得た?)デバイスじゃなかったかと思います。DECTを使えば宅内のほとんどをカバーでき、そこに設置したセンサなどを使って見守った結果を、低速の音声回線とは言え、外に伝えることができるからです。また、高齢者世帯にネット環境は無いケースが多いですが、電話回線はまずある筈。実際、固定電話機に、徘徊検知などで使用されるマット・センサが接続できるようにした装置も存在します(株式会社キューオキ)。多分、固定電話機の企画、設計の人々はその辺分かっていらっしゃると思いますが。でも、これからのライバルは「AIスピーカ」かも。

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