GW期間は他のシリーズも皆工作ネタとなるなか、本「介護の隙間から」も工作ネタをとりあげさせていただきます。新日本無線製 NJL5501R 「COBP2波長リフレクタ」です。用途、
血中酸素飽和度や脈拍などの生体モニタ
であります。血中酸素飽和度の測定はともかく、脈拍を測るというのは介護の現場でちょくちょくあると思います。このくらいは自分でやってみておくか、と。でも前途は多難。
まずJRC(電子デバイス系では、まともに「新日本無線」と社名を言うよりJRCと略称を呼ぶのが普通かと思います)のNJR5501Rとは何ぞや?その石、データシートのタイトルは、
COBP 2波長フォトリフレクタ
です。なんだかさっぱり。まず「COBP」ですが、Chip On Board Packageの略です。さらに何だかサッパリ。半導体製品の古くからある実装技術にCOB(Chip On Board)という技術があるのですが(家庭のテレビのリモコンなどは大抵COB使っています)、それとは似て非なる比較的新しい技術で、LEDなどのチップを複数個まとめてパッケージングしてしまうものです。この製品の場合、1.9mm x 2.6mmという小さなパッケージの中に3種類の異なる半導体回路が入っています。次に「2波長」ですが、LEDは波長の異なる2種類が入っています。
- 赤色LED、波長660nm
- 近赤外LED、波長940nm
これも立派な赤外アプリでした。その後の言葉「フォト」ですが、「フォトトランジスタ」の「フォト」です。LEDが発した光を受けて、電流を流すものです。最後の「リフレクタ」がこの製品の「売り」の部分です。
普通は透過型だけれど、これは反射型だからね!
喘息の時などに使うSPO2メーターなどご存知であれば分かりやすいのですが、指サックか、選択バサミみたいなものに指を挟み込んで測る装置が多いです。
xx%、息苦しくなってますね。
みたいな。透過型の場合、指の一方から当てた光が指を通過して反対側に通過したものを測っているわけです。それに対してこのデバイスは、一方から光を当て、反射してきた光をセンスするので、指を挟みこむ必要がない、というのが「売り」なわけです。
指の毛細血管を流れる血流が変動する周期を捉えれば脈拍がとれます。これは、赤色1波長あれば十分。しかし、血中酸素飽和度を測ろうとすると、血液の色を見る必要があり、皆さんご存知の
酸素に富む血は鮮やかな赤で、酸素を失うと暗い赤
という色の「塩梅」を波長の異なる光を使って検出するわけです。しかし、このデバイス、LEDとフォトトランジスタだけ、単に反射光の強さがアナログ的に出力されるだけです。
例によって秋月通商の「パルスオキシメータ用・反射型センサDIP化モジュールキット」というものを購入しました。ぶっちゃけ、小さな基板にNJL5501Rが実装されており、その端っこにピンヘッダが立てられるように孔が開いているものです。以下の写真で燦然と輝いているのは赤色LED部分です。
血中酸素飽和度の測定は凄い難しいけれども、脈拍くらいとれるんじゃね
という甘い考えで、今朝作業を始めたのです。参考用の回路例もあったし。しかし、直ぐに困りました。
必要なコンデンサの容量などが手元にない!
参照回路のカップリングコンデンサに使えるような容量の無極性のコンデンサなど手元になかったです。よく考えてみれば、
脈拍60といったら1Hz
でした。とても遅い。よって容量が大きくないと信号が通りませぬ。しかたがない、今日のところは、
信号の振幅が大幅に小さく筈だが、オシロで見えればいい
という割り切り。その他も無いものがあり、後で秋葉原で仕入れることにいたします。今日のところは、適当に定数をやりくりして作ってみました。
ダメダメのアナログフロントエンドもどきです。しばらく、アチコチ波形を当たりながら、試行錯誤で定数など取り換えて、とりあえず動かしてみました。こんな感じ。
拡大してみると、電源周波数の50Hzが見えている感じがします。なにかオペアンプも発振しているぽいし。また、出力の振幅は「予定どおり」とても小さい。1kHzくらいの信号をいれると100倍以上の増幅率が観察できるのですが、1Hzはダメ。
でもま、脈拍とれてるじゃん
ほぼ1Hz、脈拍60くらいの信号があるのが見えます。自分で脈拍は数えていたので、脈拍60は正解かと。次は回路を改善し、マイコンにつなげて、マイコン脈拍計にする予定です。全然、介護じゃないか。