電子工作ばかりにかまけていて、「介護」関係、本当に隙間が広くなってしまいました。久しぶりに考えさせていただきますのは、高齢者の歩行の問題です。歳を取れば、膝が痛くなる、腰も痛くなる、バランスもとりずらくなる。とはいえ、歩けるのであれば、歩きたい。しかし、転倒は怖い。高齢者の場合、転倒から重篤な障害につながるケースもあり、安全第一。以前調べたセンサ類では、転倒を感知するようなものも多数ありましたが、
転ばぬ先の杖
転ばずに歩けるようにアシストする用具もいろいろあるようです。そしてその一部には電子デバイスの出る幕もありましたね。
まずは最もプリミティブな用具と言えば、杖(ステッキ)でしょうか。選択のポイントは
- 自立可能なタイプか、そうでないタイプか
- グリップの形状
- 伸縮、折り畳み等できるタイプか、そうでない固定長か
といったところでしょうか、それぞれに一長一短あり、使用者により選択が分かれてくるものだと思います。まったく電子デバイスと無縁にも思える杖ですが、調べてみるとLED灯内蔵タイプなどもあり、一応、電子デバイスもありですね。ただ、杖を突きたくない、という方もおられるようだし、また、慣れないと反って危ないこともあるので、一律にまず杖から、とも行かないと思われます。
次の選択としては、歩行器、歩行車といった用具があるかと思います。これは用途に応じてかなり幅広くわかれているようです。まずは、
- 屋内の移動補助用
- 屋外歩行の補助用
というところで、大きく用途が分かれるかと考えます。屋内用は高齢者に限らず、骨折などで入院中の患者さんも使ったりするようなタイプもあり、車輪がついているものも、単なる「つかまり立ち」の枠で、移動の時は持ち上げてずらすようなタイプもあるようです。こちらのタイプはほぼ電子デバイスの出る幕もなく、かなり狭義な用具なのでこれ以上は踏み込みませぬ。さて、本題の
屋外歩行の補助用の歩行器、歩行車
に入ります。時々、ご年配の方が押して歩かれているベビーカーみたいな車輪がついている「アレ」という認識でおったのですが、そういう認識は違うのですね。形は似ているのですが、どうも3種類に大別できるようです。
- ショッピングカー
- シルバーカー
- 歩行器カテゴリの歩行車
1は、あくまで荷物が重いので入れて運ぶためのもので歩行の補助ではなく、2は自立歩行が可能な人の歩行補助、3は自立歩行が困難な人が体重を支えながら移動するための歩行補助とレベルが違うのですな。当然、介護保険適用になるのは3の「歩行器」のみ。歩行器の中に、前述の屋内用の用具もあり、屋外用に車輪のついているタイプが「歩行車」と呼ばれることがあるように見えます。この認識で良いのかな?
車輪のついたものに体重をかけて歩くことを想像すると、以下のような困難さに直ぐに思い至ります。
- 押して歩いていたけれど車に勢いがつき過ぎて付いていけなくなって、パッタリとかならないか。これは坂道の下りでもありえるでしょう。
- 今度は上り坂で押し切れなくならないか。
- 上りでも下りでも手を離したら、歩行車だけ走っていかないか。
- 坂道を横切るときに方向が曲がらないか。
当然、従来型のメカ式でも、ブレーキや抑速機構などが工夫されていて安全性を担保するようになっているようなのですが、このごろは、
ロボット搭載型
と称して電動アシスト式のものが各社から出ているようです。電動アシストなんだから、モーター要りますね。当然、モータードライバ、小なりとは言えパワー系のデバイスも必要でしょう。電池が必要であれば、電源系のIC、とくに充電制御などは安全性を考えたら重要、制御用のマイコンは1個で足りるのか?車速と車体の姿勢、そして使用者が押したり引いたりする力もセンスしなければなりますまい。6軸センサ(3軸加速度、3軸ジャイロ)に加え、力をセンスするものも必要。グリップを握った、離してしまったといったことも知る必要もありそうです。2次電池やモーターがあれば、温度の監視も必要でしょう。また、屋外で使うものだから、水たまりに突っ込んで感電なんて事態はマズイ。防水性も相当でしょうけれども、保護デバイスもいろいろ必要かも。確かに、「ロボット」というべき複雑さでしょうかね。それに、自動車であれば、各種の安全規格あり、それに準拠する必要がありますが、この手の用具ではそういう規格が決まっているのでしょうか。考えると分からないことだらけです。
これはちと調べてみないとなりますまい。