鳥なき里のマイコン屋(70) Espressif Systems 上場!

JosephHalfmoon

前から気になってはいたのです。それどころか手元にそこのチップを使った「マイコン開発ボード」2種類あり、使わせていただいとります。

Espressif Systems

秋葉原などへ行くと(人が多いので滅多に行きませんが)Espressif製品は溢れております(いいすぎか)。いえ、秋葉原どころか世界中といってよいのでは。(母集団を限定すれば良いのだ)マイコンだのIoTだのいうような世界では非常に人気者のチップに見えます。その割には知らない会社。中国上海の会社だということは皆知っているけれども。そうしたところ、先週目出度く(未公開株を持っていた人にとっては、多分)上場したとのニュースを見ました。公開したからには、いろいろ情報が出てきたんじゃないかい、ということでEspressifのサイトなどをあさってみましたです。

まず、Espressif社のサイトのニュースから引用させていただきましょう。
2019.07.26
Espressif Celebrates Its IPO
Espressif celebrated its successful Initial Public Offering on Shanghai’s Stock Exchange on July 22.

 

創業以来ほぼ10年、ついに上場という感じです。あっという間に巨大になるインターネット上のサービスとは異なり、現物がある電子デバイスだけにコツコツ時間がかかった感じもします。それでも10年ほどで上場できたのだから偉い!それも波に乗ったのはここ5年くらいじゃないのでしょうか。

上場したからには、売上高とか出荷数量とか正確な数字が載ったカンパニープロファイルでも落ちていないかな~などと思ったのですが、結論から言うと「空振り」でしたね。

私は見つけてないです。

Bloombergの株の情報のサイトも見てみたのですが、Key Statistics欄は空のままです。唯一とも言える情報は、決算発表が来年4月末日らしいことと、従業員数241という数字。

寂しいのでとりあえず、手元のESP32-WROOM-32Dのモジュール写真を掲げておきます。

頭のところに、燦然とESPRESSIFのロゴがあるのですが、イマイチ見えませんね。中央付近に技適の刻印も見えます。Espressifのチップ(モジュール製品)をよくご存知ない方のためにEspressifの何かIoT業界で受けているのか「一文」で説明しておくと、

WiFiやBLEなどを搭載したマイコン、お手頃価格

です。お手頃価格なので結構、開発ボードなど作っている中小のメーカが飛びつき、マニアが飛びつき、火がついたという感じなんでしょうかね。

ただ、マイコンと呼ぶのは、個人的にはちょっとためらわれます。本シリーズでは、マイコン=CPUとROM、RAMを一緒にしたシングルチップマイクロコントローラ、という位置づけです。ぶっちゃけ、ワンチップにCPUとROMとRAMが載っていればOK。最近ではFlashROMを別チップなどというスタイルも多いので、ワンチップでなくワンモジュールでもあり、なくらいに条件緩和中であります。それであれば、Espressif社製品は、立派なマイコンではあるのです。

しかし、CPU、テンシリカじゃね。

別にテンシリカを差別しているわけじゃありません。いわゆるマイコン屋とSoC屋(昔日本では、システムLSI屋ともいわれていた)の間には深くて暗い河がありました。そこでテンシリカ買うのはSoC屋、システムLSI屋、ASIC屋さんだったからです。なぜかと言えば

コンフィギャラブルなCPUが売り(リコンフィギャラブルではない)

つまり、いろいろ仕様をカスタマイズできるCPUです。アプリに特化したSoCとか作るのにはうってつけであろう、というもの。しかし、

チップ毎に異なる命令セット持っていたら、お客がプログラムするの大変

なので、マイコン屋さんは躊躇する訳です。マイコン屋さんはお客さんが、開発ツールを使ってマイコンにプログラムします。そして、チップが変わってもプログラムが流用できる、というのが期待されます。ある特定用途で良い性能が出ればよく、そのチップのためのプログラム(ファームウエア)はごく限られた内輪の人が書くだけ、というスタンスとはちょっと違うからです。Espressifを観察するに、最初からマイコンにするのを狙っていたわけじゃなさそうなのです。

当初、ATコマンド(ヘイズ風)で制御するWiFi用のモデムチップのふり

をしていたからです。当然、別にマイコンが必要で、マイコンのUARTの先にEspressifのチップ(モジュール)を接続することでマイコンシステムがWiFiを使えるようになっていたわけです。しかし、

このチップを直接プログラムすれば、外のマイコン無でいいんじゃね。

ということに気付いた人が居て「盛り上がった」結果、Espressifのチップのための開発用のSDKなどがあっという間に整備され、

今ではマイコン

になってしまいました。巡り巡って、私もそれを使わせていただいておると。なんだかな~

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