お手軽ツールで今更学ぶアナログ(6) Offsetを操作すると見やすい!M1K

JosephHalfmoon

1週間ほど前のYahooニュースに九電の広域電圧フリッカのニュースが掲載されていました。元ネタは産経新聞。私のような電力伝送系に無知な人には記事を読んでもその仕組みがさっぱり理解できません。どうも太陽光発電所起源の無効電力が影響しているようです。そこからインスパイヤ?されて、今回はM1Kで有効電力、無効電力、皮相電力なんてものを実験してみたい、と。

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まず、九電の電圧フリッカについて。九州電力送配電にFAQがありました。そこを読むと、太陽光用のパワーコンディショナ(PCS)から大量の無効電力が電線路に注入されたため、と「推測」されています。太陽光発電の事業者にPCSの設定を変えてくれ、というお願いも書かれています。私はFAQ読んでもPCSが無効電力を注入しなければならない理由が良く分からなかったです。駄目だ、勉強しないと。(知っていそうな人に心あたりがあるので、今度、宴会があったら聞いてみよう。でも宴会など何時になったらできるのか。)

電圧フリッカの件は置いておいて、有効電力、無効電力、皮相電力なんていうものをM1Kで実験しているものないかいな、と見れば、流石アナデバ様です。ちゃんとありました。

「ADALM1000」で、SMUの基本を学ぶ トピック9:交流回路の電力と力率

書かれているのは、教科書に書かれているような話ではあるのです(さらに自分で計算せよ、と、学習の基本をお示しです。が、そこが辛いのよ。。。)そこにね、またもや目から鱗のAliceソフトウエアの使い方が書かれていました。Adjust Gain / Offset の設定についてです。Aliceのメイン画面の右下の欄。

別シリーズの「AD584でDCキャリブレーション」という投稿で、電圧測定を正確にするために、ここに入力すべき補正値を結構詳しく測定しているのです。それどころか、DC Voltmeterツールでキャリブレーション用のゲインとオフセットを測定してセーブした(装置のシリアル番号と紐づけられた)ので、Alice本体でも補正値を自動ロードしてくれたら便利なのに、とか密かにブーたれていました。しかしね、この欄、ただ、電圧測定の補正に使えるだけじゃなかったです。補正値などは高がしれています。ゲインで1.02くらい、オフセットで0.0008といった程度の小さな値です。デフォルトのゲイン1.0とオフセット0のままでも、オシロの画面などでは困ることはありますまい。それどころか、上記のページでは、

オフセットに2.5[V]を入力

と書かれていたのです。例によってなのですが、0Vから5Vの間でしか動かせないM1Kなので、2.5Vを「コモンレール」とて、ここを中心に交流信号を印加して実験しようというわけです。そのときM1KのGND端子からみたら2.5Vだけれども、オフセットの設定を2.5Vとすれば、その電圧が0Vなんだ、とオシロ画面で見えてくる。おお、気付かなんだ。ついこの間、自分の「GND0V絶対値頭」に反省したばかりでしたが、やはり頭が固い。この発想はなかった。そうか、Aliceはそういう使い方をしてもよいのだ!

ま、わかったところで手順(をかなり飛ばして、かつ、同じ値の部品もなかったので)まずRC回路。いい加減な計算にて力率84%?間違えていたらごめんなさい。

 

つづいてRL回路、ちょっとインダクタが小さい。無効電力が微妙でずれが小さいのが下。多少はズレている。

ま、それでもLに並列にCを入れて無効電力を補正してみたのが下。

計算上は、多少ずれる筈なのだけれどな。ピタリと合った感じなのは単なる偶然。インダクタンスにはキャパシタンスを並列にいれて調整しましょう、と。

グラフは置いておいてもう一つ発見。ADALP2000パーツキットに入っている「巻きの」インダクタの会社、Coilcraft社であります。名前が良い、コイルクラフト社。所在地を調べてみるとシカゴの郊外、といっても、地図をみれば街中からはそこそこ遠く、かなり自然が豊かな感じの場所にあるようです。存じ上げておりませんでした、すみません。そこの会社には

Student Resource Center

というものがあるそうな。1行引用させていただきます。

Coilcraft can take the mystery out of magnetics and help you pick the right inductor for your project.

こういう会社良いですな。わたしゃ個人的にですが、コイルを巻いてくれる会社には親近感がありますです。昔、自分でエナメル線手巻きで空芯コイル作って、ある仕事の実験に使っていたことがあります。結構、きちんと巻いたつもりでも、目標のインダクタンス値からずれることがしばしばでした。難しいのでありますよ。それでも、ま、目途が立ったので「巻き屋」さんにサンプル製造をお願いしました。当時既に、日本国内の「巻き屋」業界は衰退していて、国内で製造している会社は減ってました。サンプル製造お願いのついでに、工場見学させてもらいました。温度やら張力やら、かなり微妙な調整を繰り返して巻くのです。機械巻きなので、納入されたサンプルは皆同じものに見える美しい出来栄えです。手巻きのときの醜さとは段違いです。しかし測ってみると、目標のインダクタンス値ピタリか、と思いきや、やっぱりバラつきはありました。コイルは難しい。最後の調整は現物合わせっと!それでいいんかい。

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