お手軽ツールで今更学ぶアナログ(21) LT3080 低損失レギュレータ

JosephHalfmoon
Joseph Halfmoon

このところ、お手軽ツールで学ぶというより、お手軽デバイスに火を入れてみるだけ、という感じがしているのですが、そのまま続けます。とりあえず手元にあるデバイスを総ざらいしてから、基本に戻って学ぶつもりっと。今回もリニアテクノロジ(アナデバに買収された)のデバイスから、LT3080であります。

前回前々回とSOT-23の小さなパッケージのデバイスからすると、今回はデカイです。TO-220パッケージ。3端子レギュレータでは定番のパッケージ(だった)じゃないかと思います。今回取り上げさせていただくLT3080というデバイスもレギュレータではあるのですが、その辺の「単能」な者共とは一味違います。上部に掲げたアイキャッチ画像を御覧ください。

  • 左、リニア、LT3080
  • 右、東芝、TA48033S

右のTA48033Sは、5Vなどから3.3Vの電源を作る時によく使われるレギュレータです(手元にも何個か「常備菜」的に置いてあります。)これは普通な感じ。それに対してLT3080は、0Vから36Vまで(もちろん入力電圧は出力電圧よりスペックで決まっている分高くないとダメですが)、どんな電圧でも出力できる一品であります。なお、流し出せる電流はTA48033Sは1A、LT3080は1.1Aとほぼ互角です。

じゃ、LT3080さえあれば、TA48033Sなど要らないじゃん、というのは早計であります。興味を持たれた方は、お値段を調べてみるとよろしいかと。定番の3.3V電源を作るだけならTA48033Sの方がずっとお手頃。

折角なので、両デバイスのWebサイトへのリンクを張らさせていただきます。まずは本日テーマのアナデバ社LT3080はこちら。

LT3080、抵抗1本で調整可能な1.1A、低損失レギュレータ

例によって日本語の参考データシートもあります。データシートを見るにパッケージは5種類をラインナップしており、その中でTO-220は一番古めかしい感じがします。多分、売れ筋は表面実装品なのでしょう。それにつけても「新規設計にお勧めします」の文字も嬉しい「推し」のデバイスかと思います。

一方、東芝のTA48033Sですが、東芝様のサイトを調べても、別パッケージのTA48M033Fは見つかるものの、TO-220パッケージ品は見つかりません。そこで秋月電子通商さんがデータシートをダウンロードできるようにしてくださっているのでそこへのリンクを張っておきます。(手元のTA48033Sも秋月さんから購入させてもらったもの)

(秋月通商様サイト内)TOSHIBA TA48033S 1 A 三端子正出力ロードロップアウトレギュレータ

さて、ともかく、テスト用の回路を構成して「火を入れてみる」ことにいたします。ここではデータシートの一番最初の標準応用例どおりの回路としてしまいました。しかし、より低電圧、低消費電力応用を考えると別のモードを使った方が良いのだと思います。

  • 3端子モード、IN端子とVcontrol端子に同じ電圧を与えて動作させる。今回はお手軽なこの方法をとったが、Vcontrol端子の入力電圧条件はIN端子単体の条件より高いので、それに引きずられてIN端子にも高めの電圧を与える必要があり、消費電力は多めになる。
  • 3端子モードじゃないモード(日本語データシートには名前が書いてない)、Vcontrol端子には別電圧を与えて制御する。IN端子にはレギュレートできるギリギリの低い電圧を与える。消費電力を抑制できる。

当然、プロは後者のモードでしょう。でも、こちとらお手軽主義なので前者をとります。テスト時の回路図は以下のようです。(例によって水魚堂さんの回路図エディタ使わせていただきました。)LT3080部品の端子は、分かり易いように現物の順序(正面から見た)に合わせてあります。

LT3080 DUT 回路出力電圧は、これまたお手軽な以下の式で決まります。

Vout[V] = R1 / 100k

今回は、R1に100k(1Vが出力される筈)と、R1に33k(0.33Vが出力される筈)の2つを実測してみました。なお、VOUTには、最低1mA流さないと安定しないかもしれないという注釈があったような気がしたので、実際のブレッドボード回路にはVOUTの先に1kΩの負荷抵抗がついています。

3端子レギュレータならブレッドボードに刺すこともそれほど難しくないですが、このLT3080の5端子は、高さも不ぞろいな千鳥なので、足を加工しないと難しいです。そこでムリヤリ式空中配線治具を作ってテストしてみました。こんな感じにレギュレータが聳え立っています。

LT3080 BB DUT

さて、R1=100kΩのときの測定値は以下のようです。測定に使ったお手軽ツールはDigilent社Analog Discovery2であります。回路に与えた電源はAnalog Discovery2のPowerソースから3Vを供給しています。なお、100kΩといつつ、手元のハンディDMMで測定した抵抗値は98.6kΩでした。LT3080 RSET=100kΩ

次に、R1=33kΩに変えてみました。DMMで測った抵抗値は33.05kΩでした。

LT3080 RSET=33kΩいやあ、こんな簡単で良いのかと思うのでありますが、良い(お値段もよいが)デバイスはやっぱり良いなあ。こういうのを「お手軽」と表現するのも何なんでありますが、「お手軽」は「お手軽」。

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(20) LTC1799、SOT-23発振器 へ戻る

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(22) ツエナーダイオードの闇?? へ進む