「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」もようやく2018年10月号にたどり着きました。毎度、根気が続かずグダグダな実験続きの中、今回はテキパキと予定通りな感じで終了。受動フィルタ、RC回路のローパスとRL回路のハイパスです。基本中の基本。
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まずは、『StudentZone』の記事(日本語版)へのリンクを以下に貼り付けさせていただきます。
「ADALM1000」で、SMUの基本を学ぶトピック10:ローパス・フィルタとハイパス・フィルタ
愛用のお手軽アナログ学習ツールのADALM1000(M1K)を使い、ブレッドボード上にRC回路と、RL回路をこさえて、カットオフ周波数を測って考察する、という趣向。まこと王道というべきか、定番というべきかの実験であります。
例によって末尾にQuizあり、その解答編(英語版)もあります。
October 2018 StudentZone Quiz Solution
解答編ですが、いつもの方向は指し示すが、細かい事は自分でやれ式の解答ではなく、珍しく(?)具体的な数値で解答が示されています。前回から心を入れ替えた(たまたま今回だけ)私メは、公式など組み込まれている電子回路電卓を脇に置き、一応自力で計算(実際の計算は表計算ソフトなので、正確に言えば式を入力しただけ)いたしました。
話は脇にそれますが、解答編のタイトル、2年分ほど順に読んできて、ようやく「2018」と年が入ったことに気づきます。今までは月しか書いてないタイトルだったので、2018だか2017だかはタイトルからは分からないスタイルでした。実はずっと引っかかっておりました。最初は1年くらいで終わるつもりだったのかしらん。
さて実験
実験そのものは、RCローパス回路とRLハイパス回路にCH-A(オシロ画面の緑のトレース)から2V P-Pの正弦波を与え、CH-Bで出力(オシロ画面のオレンジのトレース)波形のP-Pを観察し、カットオフ周波数を求めるというものです。便利なツールがあることは「あえて忘れて」、手動で周波数を変更し、事前に計算しておいたカットオフでの振幅と比較して決めよという思し召しと理解しました。
RC回路の方は指定どおりの定数の部品が手元にありましたが、RL回路のLは例によってありませぬ。20mH指定です。まあ、ADALP2000アナログ部品キットには10mHが2個入っているので、これを2個直列接続してご指定に合わせました。ただし、コイルの抵抗成分結構大きいです。2個直列となると影響はかなり大きいでしょう。後で考察するときにはポイントですかね。
オシロ画面のトレースのP-P値を検出して画面下に出力するように指定してあります。実際の実験は周波数設定を変えては、画面下のP-P値を淡々と読むだけです。以下は、RC回路でちょうどカットオフ周波数付近のところの画面キャプチャです。渋いというか地味。
以前、共振周波数を手動で求めよ、もう一回定数変えてやれ、と言われて根気が続かなかったことがありましたが、今回は大した操作もなく、ほぼほぼ予定通りな感じで結果が得られるので楽です。「額面」の定数から計算したカットオフ周波数とは若干のズレが観察されました。それも想定内。使用した抵抗は指定の1kΩに対して実際は990Ωくらいと若干小さめ(当然E24系列の規格内ではあります)、また使用したコイルの直列抵抗は2個で60Ω位とかなり大きめという点くらいを考慮して計算してみると、計算値と測定値は、ほぼほぼ一致。
ボード線図も描いてみる
今回記事では「ちょこっと」手動で測定して、それでおしまい。以前の回のように、定数を変えてまたやれとか、ボード線図を測定せよ、とか「追い打ち」がありません。ちょっと拍子抜けであったので、自主的にボード線図も描いてみました。RC回路の場合はこんな感じ。CH-Aの振幅を1VP-Pに変更してからボード線図を起動しました。-3.0 dBVの周波数を読めばカットオフ周波数ということで。ほぼ計算値と一致する値が読めますな。OKかな。
ちょっとM1Kの限界も見えてしまう
残念なことに、RLのハイパスフィルタではちょっとM1Kの限界も見えてきた感じがあります。周波数20kHzから落としていけというご指示だったのです。オシロで見ると20kHzの波形は、ちと「カタカタ」感が強いです。表示上のオプションでスムース化すると見た目気にはならなくなりますが、サンプリングレートの遅いM1Kの限界が見えてきている感じがします。後追いで読んでいる身としては、翌年(2019年)分の記事からはM1Kに替えてM2Kで実験することを知っています。M1Kの黄昏感というか、濡れ落ち葉感あり、寂寥。気のせいか。