昨日「お手軽ツールで今更学ぶアナログ(81)」で解答編が無いので困っていた件、LTspiceで「やっつけ」てしまうことにいたしました。まあ、SPICEかければお答えは「出る」のですが、理解には程遠いです。ともあれDC解析とパラメータスイープがあればなんとかなる、と。ホントか?
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LTspiceのシミュレーションには以下の6種類があります。
- Transient
- AC Analysis
- DC Analysis
- Noise
- DC Transfer
- DC op point
一番良く使うのが、オシロスコープ同様の時間波形をシミュレーションするためのTransient解析だろうと思います。しかし、今回「お手軽ツールで今更学ぶアナログ(81)BJTで構成したゼロゲイン・アンプの実習」では、対時間でなく
3角波を入力波形としてある部分の電位差をXYプロット
することが必要でした。実機なので時間は当然あるのですが、電圧対電圧のプロットなので、時間は消えます。
このような時間に関わらない静的なシミュレーションをする場合に使えるのが、上記3番目のDC Analysis(DC解析)です。電圧源の電圧をある範囲で変化させてみるもの。
課題
さて、実習の末尾で出題されている課題を引用させていただきます。
図9の回路において、安定した1.0Vの出力を生成するには、R2とR4の値をどのように変更すれば良いでしょうか。
いつもであれば、解答編(英語)がWeb上にあり解説をいただけるのですが、今回は解答編を発見できませんでした。そこでLTspiceのDC解析を使って自分で解答を作ってみます。
まず、「図9」の回路相当の回路をLTspice上で描いてみます。なお、図中R4の現物はポテンショメータです。ポテンショメータを0Ω方向にほぼ振り切った感じの図です。なお、NPNトランジスタ、2N3904のモデルはLTspiceに含まれているのでQ1の右クリックメニューから選択することができます。
シミュレーションコマンドの設定画面は以下のようです。実習では、1.5V振幅、1.5Vオフセットの1kHz三角波を使用しましたが、DC解析では0Vから3Vまでの入力電圧に対して結果を得られれば良いので以下のように設定しました。
DC解析では上記のように、3つのソースについて電圧をスイープできますが、今回は一つだけで十分です。
パラメータスイープ
課題では、Q1のコレクタ電圧が出力ポイントです。R2とR4の2個の抵抗の値を決めねばなりません。とりあえずポテンショメータ側のR4は実機での観察結果から30Ωと仮決めしました(現物ポテンショメータは500Ω品なので0から500Ωまで可変です。)R2の抵抗を決めるために、パラメータ7種類についてパラメータを変更しながらシミュレーションをかけてみました。”.STEP”とかかれているのがその設定リストです。
すると得られるのが以下のようなグラフです。DC解析の場合、X軸は電圧源の設定電圧です。0Vから3Vまで0.1V単位でシミュレーションしてもらってます。縦方向はQ1のコレクタのところの電位です。R2の7つの抵抗値に対して計算されています。一番下の黄緑色が5kΩ、一番上が11kΩです。
課題は、「安定した1.0V出力を得よ」なので、青色のR2=6kΩを候補としてみました(現物をE24系列で選ぶとしたら5.6kか6.2kですが、まあ、ここは「当たりをつけるだけ」のやっつけです。すみません。)
続いて、今度はR4の抵抗値を変化させて観察してみます。以前にやりましたが、抵抗のパラメータリストの中で0を指定するとエラーで落ちます。そこで0の代わりに0.001とかほぼほぼ0みたいな数字を入れてあります。
シミュレーションしてみたところがこちら。一番上の黄緑が0.001Ωで一番下が70Ωです。40Ωまではやや増大傾向、70Ωで今度は減少傾向で、一番平らかな感じになるのは50と60の間くらいですかね。
上記のグラフを見ると、
R2=5~6kΩの6kΩより
R4=50~60Ωの間のどこか
くらいで調整すると、入力電圧が1.5Vを超えれば、出力1.0V電圧で「安定」するような気がします。
まったく理論的でないです。闇雲にSPICEした結果。それでも一応「解答」らしき数字だけは出ると。そういうことではイケないのですが。