お手軽ツールで今更学ぶアナログ(81) BJTで構成したゼロゲイン・アンプの実習

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回は2020年11月号です。このところMOSFETとBJTの回が交互にやってきます。前回はMOSFETだったので、今回はBJTです。テーマは「ゼロゲイン・アンプ」とな。私のようなアナログ素人には聞きなれない用語ですが、そのまま解釈すれば良いのかな?

さて、今回実習させていただきます記事(日本語)へのURLは以下です。

ADALM2000による実習:バイポーラ・トランジスタで構成したゼロゲイン・アンプ

タイトルにありますとおり、本来アナデバ製のアナログ学習ツールADALM2000を使って行う実習なのであります。毎度オコトワリしております通り、当方ではADALM2000でなく、Digilent製Analog Discovery2(中身のチップはほぼほぼアナデバ製)使っております。すみません。実習に使う部品の方はアナデバ製ADALP2000ですから許してくだされ。

なお、末尾の問題に対する解答編、今回については発見できませんでした。期待していたのに。。。どうする?

ターゲット部品

前回ターゲットとなる部品の型番を見間違えて痛い目を見ました。今回は実習で使うバイポーラ・トランジスタ2個、並べて写真を撮ってから始めました。

2N3904

ADALP2000所蔵の小信号用のNPNトランジスタであります。老舗Fairchild(現オンセミ)製であります。

ゼロゲイン・アンプの原理回路(図1)の動作

ゼロゲインということは、入力が何であれ、いつでも同じ出力が出る、という理解で良いようです。敢えてアンプと呼ぶ意味はアナログ素人故、未だ腑に落ちておりませぬ。

今回記事ではLTspiceせよという御指示はないのですが、理解のためにシミュレーションもしてみました。回路図が以下に。

ZeroGainAmp0_cir

さて記事の実習は、入力W1(上記回路図ではV1)に3角波(振幅1.5V、オフセット1.5V、1kHz)を与えてトランジスタのVbeとVceを測ってXYプロットせよというものです。C1(黄色)を入力信号W1のモニタに使っているので、C2(青)をベースとコレクタに差し替えて測定することになります。

まずはVBEから。0.6V付近でトランジスタがONし始めてなだらかになることはなりますが、ズルズルと僅かに上昇しつづけてます。

CIR01_VbeXY

一方 VCE を測ったものがこちら。0.6V付近でONするのだと思いますが、ONした後は、ほぼほぼ平。一定の電圧0.64Vくらいを保つようですが、ちょっと垂れている感じがしないでもない。

CIR01_VceXY

上記の様子をシミュレーションしてみたものが以下です。だいたいあっているような気がします。だいたいで良いのか、イイ加減だな、自分。

ZeroGainAmp0_dc

VBEを2倍にする方法(その1)

方法その1は、ダイオード接続したトランジスタを2個直列にすれば倍になるでしょ、という方法。記事のとおりの接続にするには、ホントはC1とC2を逆にしないとならなかったです。まあ測定チャネルがヒックリ返っているだけなので、問題ないかと。一応、ほぼ倍の電圧の1.2V付近で立ち上がっております。

CIR02_XY

VBEを2倍にする方法(その2)

その2は、その1のようなダイオード接続のトランジスタを使うことなく、抵抗による分圧器を使うもの。ここでアナログ素人の私にはアナデバ様が何言っているかよく分からない一件勃発、1箇所引用させていただきます。

トランジスタQ1のVBEにVBEの一部が追加される形で出力が生成されます。

すみません。私には分かりません。「それでも実習の回路は動き」ます。その1よりもちょっと傾きが緩くなってしまいました。

CIR03_XY

VBEを2倍にする方法(その3)

ようやく「本命」のその3の回路にたどり着きました。その1の回路とその2の回路を合体させたような感じです。

ZeroGainAmp3_cir

まずは、R4に相当するポテンショメータを0Ω側に振り切った場合。急峻に立ち上がってはいるものの、まだ傾いております。

CIR04_XY0

次に、ポテンショメータを調整して、ほぼほぼ垂直に立ち上がるように調整したもの。後でポテンショメータの抵抗値を測ると30Ωほどでした。

CIR04_XY30

上記であれば、1.26Vくらいの電圧が安定して得られた、ってことですかい。

R4をパラメータ化してシミュレーションしてみた結果が以下に。
ZeroGainAmp3_dc

シミュレーション(DC解析)でも、R4=30Ωでほぼほぼ直線的になるっと。実機とシミュレーションの結果がほぼ一致しているので、良い感じですな。

でも末尾の問題の解答、まだだよな。どうする。

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