一昨年の「トランジスタ技術」を読み返していて気づいたのです。グラフに微分値(実際の計算は差分だろうけれど)も計算表示できるのだ、と。LTspiceのグラフ、シミュレーションした結果の電流とか電圧とかを計算して表示できるのは知っていたのです。さらにグラフに描いたトレースの「勾配」もグラフ表示できる、と。便利?
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バイポーラ・トランジスタのGm(相互コンダクタンス)を計算する例題が載っていました。ベースとエミッタ間の電圧変化に対するコレクタ電流の変化の「比」です。例題ではトランジスタの指定が無かったですが、当方では、ディスクの肥やしになっていた相当古く(20世紀確定)かつ出所不明の2SC1815のSPICEパラメータでシミュレーションをしてみました。SPICEパラメータは怪しいですが、現物は手元にあるので(といってもオリジナルはディスコンなので互換品です。)
シミュレーション用の回路が以下に。シミュレーションの設定はDC解析。VBEを0Vから0.9Vまで1mV刻みでやってみると。
2SC1815(怪しいパラメータですが)のコレクタ電流のシミュレーション結果が以下に。しかし、以下のシミュレーション結果は鵜呑みにはできませんって。データシート(こちらはオリジナルの東芝のPDF)を見るとICのMAX 150mAです。下のグラフの上3分の2近くは現物のスペック割れています。
ともあれ今回は、グラフ(トレース)の微分が取れるという点の確認なので、スペック割れていようが、かまわず「傾き」が計算できそうな部分を拡大表示してみます。こんな感じ。
微分とるのは簡単。 d() という関数で対象をくくってやるだけ。なんというお手軽さ。これで縦軸はΩのマイナス1乗(ジーメンス、S)となります。
ついでに例題では、X軸をコレクタ電流値にしてあったので、X軸の設定をIc(コレクタ電流)としたものが以下に。ほぼほぼIcが大きくなるとGmも大きくなる関係。でも先ほど述べたとおりで、右半分は最大定格割れてます。
ついでにグラフを両対数にしてみました。
微分値(傾き)表示できるのはわかった。いろいろ使えそうな気はするが、はて。。。そんなのばっかりだな、自分。