前回、アナデバ社のWeb記事『StudentZone』の2021年9月号でペアBJTを使って三角波を正弦波に変換する回路を勉強。記事後半に三角波の生成回路が載っていたので今回そちらを実機で動作確認しました。ADALP2000の部品の活用という点ではお手軽。でも、もっとお安く生成できる回路があるような気がしないでもないです。
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前回記事はペアトランジスタを使った三角波から近似正弦波への変換回路でした。実験につかう入力正弦波生成は本当はアナデバ様製ADALM2000を使うべきところ、Analog Discovery2のパターンジェネレータを使用。
しかし、元の三角波の生成からやりたいときはどうすんの?という疑問?に答えるためなのか、それともアナデバ様の秘めたるプロモーションなのか?記事の後半は、AD654およびAD8226というアナデバ様のデバイスを利用した三角波の生成回路が載っております(回路図は上記のアナデバ様記事をご参照ください。)
AD654は、電圧を周波数に変換するデバイスです。一種のADコンバータでありますな。製品ページが以下に。
製品ページを拝見すると「低価格」と書かれておられるのですが、それよりも目を引いたのは以下の文字です。
新規設計非推奨
駄目じゃん。なお、このチップには紹介用の日本語ビデオが以下から視聴できます。ビデオを見ればこのチップのことは良く分かる、っと。
ただ、上記のビデオを見ても、データシートを拝読しても、実は三角波の生成ができる、という機能は出てまいりませぬ。VF変換時に発振回路の時定数を決めるためのキャパシタ端子から取り出した信号が三角波になるんでありますな。アナログ素人の私には直ぐには想像つかない裏技?であります。
本来信号を引き出すべきでない端子から差動信号としての三角波を取り出しているので、AD654の発振に影響が出ないように高インピーダンスな回路で受けて、差動信号をシングルエンドに変換したい、と。そこで使われているのが、
であります。上記の製品ページから引用させていただくと「電源範囲の広い、レールtoレール計装アンプ」です。AD8226は抵抗1本の設定で1倍から1000倍まで差動信号を増幅できる一品です。なんかゴージャスな使い方だな。おい。
まあね、AD654もAD8226も、手元にあるアナデバ様製ADALP2000学習用アナログ部品キットに含まれております。有効活用できてうれしい限り。しかしながら、単純に三角波を生成するのであれば、も少し「お求めやすい」方法があるような気がしないでもないです。知らんけど。
実機動作確認
アイキャッチ画像に掲げましたるブレッドボード上に組んだ回路に、正負電源とGNDを接続すれば、三角波の発振が始まります。周波数は5kΩの可変抵抗を捻れば設定できます。とりあえず成り行きで発振させたものが以下に。365Hzとな。
可変抵抗を振り切って「最速」にしてみたものが以下です。約1.2kHz。
逆方向に振り切ってみたものが約5Hz。
まあ、三角波でてますね。