別シリーズ記事にてADコンバータ使用。信号振幅は大きいのでAD直結でもOK。でも小さい信号になってくるとアンプが欲しくなるでしょう。今時のマイコンのADなので電圧3.3Vの単電源がいいです。ということで大分前に仕入れてあったのがAD8506のDIP化モジュールです。ピンヘッダをはんだ付けすればDIPに見えるもの。
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低い電源電圧の単電源で動き、入出力ともにレールツーレールで、低消費電力というのは今時のモバイル機器対応のオペアンプの標準的要求仕様でないかと思います。そのようなオペアンプが各社より多数発売されているもよう。しかし、この年寄には一つ問題が。
そんなモダンなオペアンプは皆パッケージ小さ、とっても小さ
老眼で手も覚束ない年寄が工作するには過ぎたる小ささです。しかし、そんな年寄の足元を見透かし?秋月電子通商殿にはDIP化基板にオペアンプ実装済の製品があります。今回のものが以下に(秋月殿の回し者ではありませんぞ。)
登載しているオペアンプは以下のデバイスです。
AD8506 オペアンプ、最大20µAの消費電力、レールtoレール入出力、入力クロスオーバ歪みなし、デュアル
スペックを眺めると「スピードのことは言わないでね」という感じで、「特別高精度でもないけどね」という感じっす。知らんけど。でもま、1.8Vの単電源から動いて、入出力ともにレールツーレールというところが売りだと思います。マイコンのADに直結するには忍びない信号をちょっくら増幅してやるにはちょうど良いんでないかい。大丈夫か?
まずはLTspice
アナデバ様のオペアンプなので、LTspice開けば即シミュレーションできるところも嬉しいっす。以下の回路図はパーツの選択ページのExampleを開くボタンを押して現れてきた回路を勝手に単電源化?した上に、ゲイン101倍としてみたもの。大丈夫か?
シミュレーション結果が以下に。下の方に張り付いている黄緑の信号が入力信号で、101倍増幅された出力が青色です。
でもね、このデバイス、8ピンのワンパッケージに2回路入ってます。2回路使う予定がないのなら、1段11倍を2段重ねた121倍の方が多少速度が有利なんでないかい。オペアンプ素人の浅はかな考えじゃよ。
時間波形は1段でも2段でも微妙なゲインの違い以外は変化ないです。でもAC解析してみると差が見えましたぜ。
周波数応答が以下に。実線がゲインで、点線が位相です。
2段のときのAC解析用回路図が以下に。
周波数応答が以下に。
明らかに2段重ねた方が周波数が伸びているのでないかい。もともと速くはないのだけれども。折角2回路載っているなら使うってもんでしょ。モッタイナイ?
実験
実験用の回路が以下に。ブレッドボード上にAD8506のブレークアウト・ボードを載せたの写真。
実機で観察した結果が以下に。いつものAD2の波形っす。黄色C1が入力信号です。振幅10mV、オフセットを20mV、周波数100Hzと設定してます。青色C2が出力、測定の振幅1.16Vとな、振幅の実測値で計算するとゲイン約122倍。まずは予定通りか。
しかし、入力信号のオフセット20mVに設定したつもりだけれど、実測値をみるとあまり余裕は無さそうです。下手すると0V切ってしまいそう。ヤバイよ。
実際、オフセット設定を10mVに変更しただけでこんな感じ。設定上はギリギリ0V切らない筈がどうも切ってますな。すると流石に出力波形の下がちょん切れとります。たった10mVだけれども結構劇的な変化ね。
入力レールツーレールなので、ギリギリまで頑張ってくれてるみたいですが、ちょいとでもGND下回れば万歳だと。当たり前か。素人はあんまりギリギリを責めない方が身のためじゃろう、と。