前々回、前回と周波数応答に関係するパラメータである、スルーレート、セトリング時間を順に勉強してきました。今回は周波数応答の本命?利得帯域幅積(GBW)です。ただね、電圧帰還形オペアンプと電流帰還形オペアンプで特性というか考え方が多いに異なるみたいです。今回は電圧帰還形オペアンプの回ぞなもし。刻むな、自分。
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
オープンループゲインの周波数特性
今回は、『オペアンプ大全』P.187の図4-21を見ていただいたら、『大全』様がおっしゃりたいことのエッセンスはそこに尽きておるような気がします。
周波数が低いところでフラットであったオープンループゲインはあるところで低下を始めるますな。このレートが6dB/octであります。6dB低下はほぼほぼ2分の1、オクターブ(oct)は2倍の周波数なので、周波数が倍になりゃゲインは半分ってことですな。よって周波数とゲインの積であるGBWは一定であると。同じゲインであればGBWが大きければ大きいほど高い周波数まで使えると。
「完全補償型」のオペアンプはこのまま一直線(両対数グラフ上で)に落ちていく。一方「非補償型」のオペアンプはというと途中で「第2の極」が現れ、12dB/octという倍のレートで急速に落ち込んでいくのだと。
そこでであります。12dB/octの部分ではフィードバックかけても「帰還回路の位相シフトが大きすぎて」発振してしまうのだとか。端的に言えば、ユニティ・ゲイン安定(1倍のゲインでも安定して使える)のアンプは完全補償型、一方、x倍以下のゲインでは使わないでね、というアンプは非補償型だと。
みんな完全補償型にすりゃいいぜということで話が済まないのは、ほぼほぼ同様な回路構成のオペアンプでも非補償型にするとグンと周波数特性が伸びるからみたいっす。その辺考えると、ゲイン大き目の範囲で分かって使うのならば非補償型の方がお得ってこと?
実は図4-21の図の例のような典型的なグラフが手元のデータシート(手元在庫のオペアンプ用)に無いかと探してみたのです。ありました。が、某社の製品でアナデバ様のものではありませなんだ。『OPアンプ大全』はアナデバ様の書物なので忖度働き、某社のグラフを掲げるのは差しさわりがあろうとボツ。
どうもねえ、ユニティゲインで安定でないオペアンプの特性のグラフでは、使えない付近は明確にグラフ化されてないみたいです。知らんけど。その代わりゲインはxx以上で使えなどと個別にご指示があり。
OP27とOP37
そんな中、グラフ的にはなんだかな~な感じだったのですが、OP27とOP37の関係がちょっとツボにはまったので引用させていただきます。まずデータシートから。
OPAMP | GBW(typ.) | Closed Loop gain |
---|---|---|
OP37G | 63MHz | must be at least five |
OP27G | 8MHz | unity gain stable |
OP37とOP27はともに、かの定番OP07の一族?のオペアンプですが、GBWを見ると分かるようにOP37は高速まで特性伸びてます。それにくらべるとOP27は低い周波数で妥協してる感じです。まOP27でもOP07に比べたら抜群に速いのですが。今回のテーマの注文にハマったのは、OP37は少なくともクローズドループゲインは5以上という指定です。OP27はユニティゲイン安定なのに。その辺の2つのOPAMPの関係性をOP37のデータシート上では以下のように書いてました。引用させていただきます。
For closed loop gain between five to ten, the designer should consider both the OP27 and the OP37. For gains above ten, the OP37 has a clear advantage over the unity stable OP27.
どうも2つのデバイスは一族なので、ココの部分を除いた特性は良く似ているみたいです。よってクローズド・ゲインが5倍以下ならOP27一択、ゲインが5倍から10倍なら両方をよく考えて使え、10倍超えたらOP37が推しってことみたい。
分かったような分からぬような。いつものことだよ。