前回、周波数応答の本命?パラメータということで利得帯域幅積(GBW)を学んだのですが、それは電圧帰還形オペアンプでのことでした。しかし次項目の電流帰還形オペアンプに至りて、それはあえなく崩れさります。曰く『電流帰還形OPアンプに利得帯域幅積を適用することはできません』と。ちょっとどころじゃないな、その違い。どうすんの?
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
電流帰還形OPアンプの周波数応答
ということで電圧帰還形のOPアンプ(ぶっちゃけ、フツーに売っているオペアンプのほとんどが電圧帰還形、電流帰還形の場合のみ、電流帰還と書いてあることが多いようデス)では、威力を発揮したGBWですが、電流帰還形OPアンプには適用できんようです。
かいつまむと電流帰還形オペアンプには
最適な帰還抵抗の値が存在するからデータシートをみるように
というこってす。最適な抵抗値は電源電圧によって決まるそうな。抵抗値を大きくすると帯域は狭くなるし、小さくすると不安定になると、おそろしや。最適抵抗=最大待機幅だと。
LT1399のデータシートを眺めてみる
手元に電流帰還形のOPアンプは2種類しかありません。『OPアンプ大全』を配布していただいているアナデバ様に忖度してアナデバ製品ということで選択するとLT1399のみです。製品ページが以下に。
LT1399 低コスト、シャットダウン機能付き デュアルおよびトリプル300MHz 電流帰還アンプ
プラマイ5V電源にて300MHzの帯域幅をほこり、150MHzの区間で0.1dBのゲイン・フラットネスな電流帰還形のオペアンプです。データシートの上に現物チップを載せた写真を冒頭のアイキャッチ画像に掲げさせていただきました(老眼で手の震える年寄には過ぎたる表面実装パッケージだのう。)
上記の画像を見ていただくと典型的なアプリケーションが分かりますが、ビデオ信号をマルチプレクスしてビデオケーブルをドライブするような用途です。うまい塩梅に(そのつもりだから当然か)1パッケージに3回路入っており、それぞれにイネーブル信号が入っているので、選択した1つだけを通して他の回路はお休み(電力消費もオフ!)にできる優れものデス。
用途も用途だけに掲げられているゲインの選択肢は以下のようです。引用させていただきます。
AV=1, 2 and -1
ピンポイントだなあ。そして電源電圧とゲインの組み合わせで300MHz(-3dB)、150MHz(0.1dB)のバンド幅を達成するための帰還抵抗 Rf 等も書かれてます。
抵抗値もピンポイントだあ。±0.1%の金属皮膜抵抗ですかね、使うとすれば。どの定数も手元にはないデス。実験できんぞ。