お手軽ツールで今更学ぶアナログ(157) スピーカの周波数特性、ここでのBWって何よ?

Joseph Halfmoon

アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』2023年3月号の実習2回目です。前回は手動にてスピーカのインピーダンスを測定。周波数に対してプロットしてみました。今回はネットワーク・アナライザとインピーダンス・アナライザを使って測定します。そこで唐突にBW求めよと投げかけられたのですがここでのBWって何?

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アナデバ様のStudentZone 2023年3月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習: ラウドスピーカのインピーダンス・プロファイルを取得する

記事の末尾の問題に対する解答編(英語のみ)が以下に。

March 2023 StudentZone Quiz Solution

巻末問題のBWにとまどう

今回は、記事末尾の「問題」に?なことあり。問題文を引用させていただきます。

2. 図6に示したラウドスピーカの周波数応答から、FSとBWの値を求めてください。

FSは、スピーカの共振周波数です。既に前回手動で求めてますし、今回はツールを使って対数掃引する回なので測定してカーソルあてればもとまる値です。しかし、BWって何?記事本文中にはBWに関する言及なく、ここで唐突に登場しました。スピーカ素人はつい以下のようなものを想像して目を回してしまいました。

スピーカの周波数帯域、あるいは可聴周波数帯域

低音は何十Hzくらいから聞こえて、高音は20kHzまでねとか、オーディオ系の方は蘊蓄を語れる数字かと。しかし、ここで「そんなもの」が測定できるとは思いませぬ。だいたいツール使って測定せよ、とご指定の周波数範囲も100Hzから1kHzです。

しばらく考えてようやく合点の行く解釈にいたりました。FSを測定したのだから、「共振回路のバンド幅」を測定せよ、ってことじゃないのかしら。FSのピークから3dB(0.7)落ちたあたりの周波数の幅を測定すれば良いやつ。それならこのオーディオ素人にも測定できそうな気がします。念のため、いつもお世話になっておりますCQ出版「トラ技」誌関係で以下のページを見つけたのでURLを貼り付けておきます。下の方に共振回路のバンド幅(BW)の計算があります。

L,Cの各Qから抵抗分およびLC共振回路の合成Qを求める

最初はインピーダンスアナライザ

結局、AD2の「インピーダンスアナライザ」も「ネットワークアナライザ」も裏では同じようなことをしている筈なのですが、まずはインピーダンスアナライザでインピーダンスの周波数特性を測った結果を貼り付けます。上がインピーダンス(直列抵抗Rsの値)で、下が位相です。RsでなくZもほぼほぼ同じカーブ(Xsはけた違いに小さい)に重なるので見難いのでRsのみにしてます。

speaker_imp1

前回手動で測定したインピーダンスのピークの周波数と値からは微妙にズレとりますが。コマケー話には目をつぶってしまうっと。いいのか、そんなことで。

続いてネットワークアナライザ

さて本題?のネットワークアナライザ使った測定です。裏でやっていることはほぼほぼ同じの筈なのですが、「見せ方」が異なります。speaker_mag1

ちょっと気づいたのがカーソルです。インピーダンス・アナライザは上下のグラフ毎に異なるカーソルが使える上、Y軸方向のカーソルもありです。それに大したネットワークアナライザの方は、上下のウインドウに共通のX軸カーソルのみです。何を測定したいのか異なるからってことですかい?知らんけど。

さてお待ちかねのBWの測定。Magnitude面だけを拡大してピーク位置とピークから3dB落ちたあたりにカーソルを当ててみました。speaker_mag1

X2Δ1が約-25Hzということなので、両側のバンド幅で約50Hzくらいということで良いのでしょうか?ちなみに記事掲載の周波数特性グラフに対して解答編が与えているBWは40Hzくらいでした。まあ、ここでのBWは共振回路のバンド幅っていうことで良いみたね。でも、手元の実験回路の方が「だらりん」としまらない特性であるみたい。まあ裸のスピーカを上向けておいてあるだけなので。以前の実験で下向けて「口をふさぐ」ともっとひどいことになることは経験済。スピーカは「周囲の空気を読む」電子部品なのでいたしかたない?

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