一度禁断の荒業「BVエレメント」に手を出してしまうと、後は野となれ山となれ、ほぼ算術的に記述可能な動作であれば何でも「ビヘイビア」モデル化可能であります。今回は積分回路です。前回の遅延回路の「チョイ変」で「ビヘイビア」モデル化してみます。一撃。電源電圧の制限などなくどこまでも積分可能。ビヘイビアだね~。
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※ Analog Devices, Inc. LTspice XVII(x64) (17.0.36.0)を使用させていただいて動作確認しております。
積分回路
積分回路といえば、オペアンプのフィードバックループにコンデンサを含めた回路が思い浮かぶんじゃないかと思います。本サイトでも、以下の別シリーズでオペアンプOP07つかった現物回路で積分してみてます。
定番回路のたしなみ(28) OPアンプ使った積分回路、OP07シンプル版
しかし、LTspiceのBVエレメントには豪華関数のラインナップあり、その中にidt()という積分関数も存在します。Helpから1行引用させていただきます。
idt(x[,ic[,a]]) Integrate x, optional initial condition ic, reset if a is true.
xにどこかのノードの電圧を指定すれば、後は時間 t [sec] にて積分してくれます。必要があれば、初期化やリセットもできるみたいデス。これを使えば「純粋な積分」操作ができそうです。
ライブラリ
BVエレメントを使って積分を表現したLTspiceモデルが以下に。V=idt(V(1))とか簡単すぎんか?
シンボル
上記ライブラリを呼び出して使うためのシンボル、手抜きの四角、が以下に。
動作確認用LTspice回路図
動作確認は現物回路でもやってますが、矩形波を入力して三角波を得るものです。回路とシンボルのアトリビュート設定は以下のとおり。
LTspiceシミュレーション結果
初期値は何も設定していないので0みたいです。そこから5Vで500msecの期間入力すると出力の積分値は 5 * 0.5 = 2.5 まで持ち上がり、そこから-5Vで500msec期間たつと 2.5 + (-5 * 0.5) = 0 に戻ると。
見事な三角波。ビヘイビアだもんね。