前回は、高精度オペアンプの「ゴールド・スタンダード」OP177に火を入れてみました(入れただけ。何の考察もねーずら。)しかし上には上があるものです。今回は「ある局面に限定すれば」OP177を圧倒する、オフセットとドリフトを最小にするチョッパ・スタビライズド・アンプの件です。なんだか難しそうな名前だし、難しいんでないの?
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
チョッパ・スタビライズド・アンプ
“Chopper Stabilized Amplifier”、かねてお噂は聞いておりましたが、直面せざるを得なくなったのは今回読んでいるのが、 『OPアンプ大全』第2部第5章の以下の2つの節であるからです。
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- 5-2 チョッパ・スタビライズド・アンプ
- 5-3 チョッパ・スタビライズドOPアンプのノイズに関する考察
「チョッパ・スタビライズド」祭り? OPアンプ素人がいい加減なことを書いても何なので、『大全』読んでいただくのが一番ですが、今回の上記2節の内容とほぼほぼ同じものが、以下の独立したチュートリアルになってました。
MT-055 TUTORIAL Chopper Stabilized (Auto-Zero) Precision Op Amps
使いまわしってやつ?微妙に異なっている気もするけれど説明グラフなどはクリソツ。
チョッパ・スタビライズド・アンプを説明するために「例」として登場するのがAD8571です。製品ページが以下に。
AD8571 オペアンプ、シングル、ゼロドリフト、単電源、レールtoレール入出力
上記ページからデータシートダウンロードしてその中身を読むとようやくチョッパ・スタビライズドというお言葉が登場しますが、製品ページやデータシートの目立つところには一言も書いてません。勝手に妄想するに「チョッパ・スタビライズド」を前面に押し出すと「なんか難しソー」「そんなの関係ねえ」と振り向いてもらえない恐れがあるからかと。
実際には古典的なチョッパ・スタビライズド・アンプのようなメンドクセーことはなく、スプレッド・スペクトラムなチョッピング周波数により「気にせず」使えるみたいです。ホントか?
『大全』曰く(一か所引用)
オフセットとドリフトを最小にする唯一の解決策
なんだそうな。
ただし、使いどころというものは当然あり。冒頭のアイキャッチ画像に引用させていただきましたが、「極めて低い周波数領域(0.01Hz)」で「ゴールド・スタンダード」に勝るということです。なぜならば(もう1か所引用)
チョッパ・スタビライズドOPアンプには1/fノイズがありません
ということであります。1/fノイズが問題になる世界で使うのね。。。
使うときは「寄生熱電対効果」を避けよ、とも。ううむ、ブレッドボード上でジャンパワイヤで回路をこさえているのでは避けようが無いっす。豚に真珠だあ。