今回の定番「コッククロフト・ウォルトン」回路(以下CW回路と略称します)はその気になって積み重ねれば、何万Vの高電圧でも生成できる回路っす。その癖お手軽、コンデンサとダイオードがあれば作れるっと。まあ電流を流し出そうとするのには向かないようだけれど。とりあえず手元の部品でちんまりと「昇圧できてる」ところを観察。
※「定番回路のたしなみ」投稿順Indexはこちら
Cockcroft–Walton circuit
CW回路はもともと加速器を駆動するために発明された回路らしいデス。知らんけど。
以下のCQ出版様の問いかけをみれば1万ボルト(関係ないけど「~1万ボルト~」と歌ってらしたおじ様はお亡くなりになりましたな。私は当時聞いていた世代です。ご冥福をお祈りいたします)の高電圧の生成など簡単、ホントか?
まずはLTspiceシミュレーション
後で現物で回路組めるように手元の部品だけ使って作れる、ごくごく控えめに「電圧が高くなる」ことだけを確かめる回路が以下に(1万ボルトにしたい「よゐこ」は上のCQ出版様の記事をご覧くだされや。自己責任デス。)
上記回路のシミュレーション結果が以下に。黄緑色のベタに見える部分はVinに印加された10kHz、オフセット0V、振幅1Vの矩形波です。赤色がVout波形。
2倍というか、約1.8Vくらいだけれども確かに昇圧されとるみたいデス。
よゐこは大振幅で高みを目指すのでしょうが、この老人は小振幅でどこまで動くのという方です。控えめ。シミュレーション回路が以下に。
矩形波の振幅半減 500mVでシミュレーションした結果が以下に。
かなり元気がない感じになりましたが、それでもシミュレーション上は昇圧しておる、と。流石にダイオードがONしなくなる電圧になったら一巻の終わりか?やってないケド。
実機動作確認
ブレッドボード上に組み立てた実機が以下に。1000pFのセラミックコンデンサと小信号用のダイオード1N4148です。黄色が矩形波入力、青色が出力。
まずは矩形波周波数10kHz、オフセット0V、振幅500mVのときの観察結果が以下に。ダメじゃん。元気なさすぎ。入力方形波(黄色C1)より、出力電圧(青色C2)が低いっす。
それではということで、ちょいと入力電圧をあげ、矩形波周波数10kHz、オフセット0V、振幅1Vのときを観察してみます。こんな感じ。入力電圧より僅かに高い電圧が出てきたな。
さらに振幅を2Vに上げたものが以下に。上の波形とあまり変わらないように見えますが、縦軸を1DIV=1Vに設定しなおしたため。2V振幅に対して約3Vが出力されてますな。それでも倍増にはほど遠いけど。
観察につかっているプローブ側にも抵抗入っているし、ブレッドボード上の実機回路ではこんなもんかい?ま、確かに電圧は高くなっちょります。