定番回路のたしなみ(49) Rectifierその1、単相半波整流回路

Joseph Halfmoon

定番回路などと言いつつ、そういえばゴッソリやってなかったことに気づいた一群の回路があります。交流電源から直流を取り出すためのRectifier、整流回路です。今回から心を入れ替えて「嗜んでみる」ことにいたしましたが、SPICEだけ。手元に商用電源で実験できるような部品もないでのう。。。

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「単相半波整流回路」

漢字で書くと結構厳めしい感じがしますが、何のことはないです。ダイオード1個、コンデンサ1個、負荷相当の抵抗1個です。回路的にはなんということもないですが、結構耐圧厳しいので部品は選ばないとなりませぬ。今回選択いたしましたのは、

1N4007

です。「汎用整流用ダイオード 1000V1A 」です。逆方向電圧1000Vまで耐えるデバイスです。秋月電子通商殿曰く「世界標準の整流用汎用ダイオードです」(リンクは秋月殿の通販サイトの1N4007のページです。)なお、秋月殿もいくつか同じ型番でソースの異なる製品を用意されているようです。上記は

diodes Incorporated社

製のデバイスです。こちらを選んだのは、以下のダウンロードページに行けば、Spiceモデルがダウンロードできるからであります。

Spice Models

LTspice用の回路

さてLTspiceでシミュレーションした回路が以下に。※2024年5月29日追記:以下回路には「ウソッコ」なところあり、その反省は次回で。ま、シミュレーション的には今のままでも実害ない筈だけれども。。。。Rectifier1ParamRL

V1の「交流電源」は東日本の50Hz、100V[RMS]の商用電源の「つもり」の波形です。振幅141Vというところがミソね(微妙に割れてるけど。)

それにDiodes Inc.社の1N4007のspiceモデルをつなぎ、その先に100uFのコンデンサ(当然それなりの耐圧必須だけれどもSPICEなので気にしないっす)と負荷のつもりのR1を接続しただけ。これで単相半波整流できる筈。

一応、負荷については 100Ω、500Ω, 1kΩ、2kΩの4種類を接続することにして.STEP文で切り替えてます。

また、.MEAS文で入力と出力のRMS電圧値をテキスト出力するようにしてあります。

シミュレーション結果

まずはトランジェント解析の結果。黄緑が入力の「商用電源」波形っす。赤色が出力の整流された波形です。負荷抵抗の値によって波形が変わるので左の方に100、500、1k、2kとパラメータの抵抗値を書き添えました。Rectifier1ParamRLsim

上記のときに .MEAS(measure)文で測定したRMS電圧値が以下です。MEASURE_RMS

また、「問題の」ダイオード1N4007にかかる逆方向電圧のグラフが以下です。ピンク色の波形ね。REV_VOLTAGE

やばいじゃん、280V近くも電圧かかっておるでよ。出力ほぼ141V近くを出しているときに、入力電圧はマイナス141V付近まで下がるのだからあたりまえじゃん。まあ1kV耐圧の1N4007なら余裕。でも手元にあったハズの「兄弟品種」の1N4001は50V耐圧、ハシボーだわ。

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