定番回路のたしなみ(48) BJT(NPN)、ダーリントン接続の威力を味わってみる

Joseph Halfmoon

前回、NPNのBJT、2N3904でエミッタ接地増幅回路とスイッチング回路を嗜んでみました。それで目の前にBJTが2個ブレッドボードに刺さったままになってます。これを見て、そういえばダーリントン接続やってなかったじゃないかと思い至りました。小さな電流で大きな電流を制御するときの定番中の定番。ちょい変で嗜んでみます。

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ダーリントン接続

BJTトランジスタを購入するときに、hfeというパラメータを参照すると思います。これの大小で部品のグレードが異なることも多く、数字の大きいやつはお値段もそれなりかも?端的なことを言えば、エミッタ接地で増幅回路を作ったときの電流増幅率、流したベース電流の何倍のコレクタ電流が流れるか、という数字っす。ダーリントン接続を使うと2個のトランジスタのhfeが掛け算にできるので、巨大な電流増幅率が簡単に達成できるっと。

アナログ不得意の老人がゴタクをならべるよりは、『マルツ パーツまめ知識』様のダーリントントランジスタなど参照されるがよろしかろうと。

通常は、大電流をコレクタに流せるトランジスタをONさせるのには、それなりの電流をベースに流さねばならりまへん(小さなベース電流で大きなコレクタ電流を制御できるトランジスタもあるが、hfeがデカいのでお値段もそれなりの筈。)通常はベース電流をアシストしてやる1段目と大電流を流す2段目で異なるトランジスタを使うものじゃないか、と思うのです。それより専用のダーリントン・トランジスタを買う方が早いか。ワンパッケージの中に両方入っとります。

しかし今回は目の前にあるのが単体2N3904が1種類だけなので、これ2個をダーリントン接続してみます。そしてAnalog Discovery2の「カーブトレーサー」機能を使って、Ic/Ib特性を測定してみたいと思います。

単体2N3904のIc/Ib特性

まずは比較のため、2N3904単体の特性です。こんな感じ。2N3904_IBIC

ベースに100μAを流し込んだときに、コレクタには18mAくらい流れているようです。電流増幅率としたら180倍くらいかな。

ダーリントン接続した2N3904のIc/Ib特性

実験の回路図が以下に。2N3904_Darlington_Schematic

そのときのカーブトレーサーの出力が以下に。2N3904_Darlington_IBIC

ざっくり、ベースに2.5μA流して、25mAがコレクタに流れているので約10000倍ね。180×180とはいかないけれども電流増幅率バカでか。まあ威力は分かったと。。。当然失ったものもあるけれども。

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