前々回、LTspiceの.MEASコマンドでカットオフ周波数を計算したのですが、「その方法では上手く行かない」ケースを見つけてしまいました。RLCのローパスフィルタの周波数特性を描こうとしたときにです。カットオフ周波数前に「小さなピーク」あり、前回方法では「ピーク前のまだ通過域」のところを誤って算出。これはイケない。
※2024年6月4日追記:理想と現実は違う。リアルデバイスの挙動は、理想デバイスとは違うの件はこちら。
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※ Analog Devices, Inc. LTspice を使用させていただいて動作確認しております。今回使用のバージョンは以下です。
XVII(x64) (17.0.37.0)
RC、RL、RLCローパスフィルタ
別シリーズ記事にて、MaximaOnAndroidを使い、各種パッシブフィルタの計算ができるツールを作りました。Android上ではElectrodoc Pro(有料版)というアプリをインストールしてあり、愛用しているのである意味重複。まあ、別な計算の準備という目論見であります。
ついてはRC/RLのような1次のフィルタは遮断域では20dB/dec<6dB/oct>(※2024/6/24訂正)で「落ちて」いくけれども2次のフィルタであるRLCならば40dB/decで「落ち方」が激しいという「アリガチ」なグラフを描きたかったのですそこでRC、RL、RLCのカットオフ周波数が「ほぼほぼ同じ」になる定数の組み合わせを計算。これには愛用のElectrodoc Proを使ってしまいました。こんな感じ。
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- RCフィルタ
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- RLフィルタ
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- RLCフィルタ
LTspiceシミュレーション回路(初回)
以下のLTspice回路図を描き、上記3通りのローパスフィルタのAC特性をグラフに描くとともに前々回の手法でカットオフ周波数も一気に計算してしまおう、という目論見のもとに描いた回路図が以下です。問題個所にマーカを引いてあります。
オレンジのマーカ部分が問題の箇所です。実際のAC特性のグラフ上で確認しているところが以下に。黄緑がRC、灰色がRLでこの2つは「重なってます。」赤色がRLCです。上記でマーカをつけた fcutoffrlcの値が他の2つより妙に低いのは、以下のグラフでカーソル置きましたが、小ピークの「手前」の -3dB点をカットオフ周波数と「誤認」しているためにほかなりませぬ。
ピークを通り越した後の「落ちていくところ」をとってほしかったのよ。。。それに、小ピークのせいで、他の2つと比べずらいっす。
LTspiceシミュレーション回路(第2回)
そこで以下の修正を施しました。
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- fcutoffrlcを計算するのに when を使うのを止め、targ を使用して「データ末尾」の側から-3dB点を「攻める?」
- RLCもRCやRLと「比較しやすい特性」になるようにRの値を1.1Ωから10Ωに大きくする
赤実線(RLC)は40dB/オクターブ、緑と灰色の実線(RCとRL)が20dB/dec<6dB/oct>で落ちている感じがします。アリガチな目論見通りか。
大丈夫か、こんなもんで。