今回はロジックIC、といってもレベル変換のために汎用ロジックICをおさらいしたいと思います。想定は3.3V系のデバイスから5V系への単方向の信号伝達です。実験してみたのは74HC04、74VHCT04、7S14F、全てインバータです。改めて波形を見てみると、いろいろある気がしないでもない。
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さて今回使用のデバイス等を5V電源で使うときのVIH、VILの規定の範囲と3.3V側のデバイスの想定VOH、VOLを図にしてみました。
出力側で想定しているのは3.3V電源のマイコンです。多くのマイコンがVOH=0.8*VDD、VOL=0.2*VDD といった規定じゃないかと思います。実際には、3.3Vがドロップしてもっと低くなることがあり得る筈ですが、図が複雑になるので、Typical 3.3VのVOH、VOLの規格上OKな範囲を示してあります。
それに対して、VIH、VILのOKな範囲(データシートの規定がVDD=4.5Vなのでその値そのままです)を示したのが以下の2つです。
SN74HC04の方は「普通の」CMOSロジックデバイスです。下の図を参照すれば明らかなように、3.3Vデバイス側の出力電圧が「低め」だとスペック割れてしまうので「今回は使えない」タイプです。しかし、ご存じのとおり、CMOSのロジックデバイスの実際のスレッショルドは2分の1VDDあたりにあるので「多分実際には」動く筈のもの。
それに対して、74VHCT04AFTの方は、VHCTのTで示されるのだと思いますが、いわゆるTTLレベルのデバイスです。TTLレベルなので2V付近を超えればHIGHと認識するので、3.3V系の出力を受け止められるもの。
3個目は、以前に使った東芝ワンゲートロジックのデバイスです。
これはシュミットトリガ付きのインバータです。実は上のシュミット無しのインバータに「ゆっくりした」波形を入れていると「貫通電流流れてるんじゃないか」という波形が見えたので、ついでに実験してみました。シュミットなので、閾値がVPとVN2つあります。以下は4.5V電源でのVPの最大と、VNの最小を表しています。デバイスによりバラツキがある筈ですが、ヒステリシス電圧の幅は以下の範囲の中にある、と。
TC74VHCT04AFT
まずは、3.3VIO信号を受け止められる筈のVHCTの「ゆっくり波形」での動作。C1(黄色)に入力しているのは1kHzの3角波です。振幅1.5V、オフセット1.5V。インバータを通過して出力された信号がC2(青色)です。C2は一目盛り2V設定、ピークツーピークで5V振れてます。
ゆっくりした3角波のためか、立ち上がり、立下りにあるナナメのところが気になります。P、N両方が微妙にONしているようにも見えます。波形の入れ方が良くない、といえばそのとおり。
出力が完全にLOWとなる、入力からすれば完全にHIGH判定されている領域が以下に。
上記の入力が遅い3角波と普通じゃないので、通常の矩形波1MHzを入力してみたものが以下に、ピークツーピーク2.5V入力であれば、まったく問題ない感じです。
しかし、ピークツーピークを2Vに落とすと、一瞬、ちゃんと動いているように見えるのですが、頻度が低いですがダメな波形が混じっている感じがします。Persistenceモードで観察したものが以下に。稀に出力が0Vに落ち切らない「経路」があるみたいです。
SN74HC04N
一方、スペック的にはダメな筈のHCですが、以下のような感じで、3Vp-pの入力波形に対しては「手元のデバイス」は動作してます。当然、動かなくても文句は言えません。
入力がHIGHと認識されている期間をみると、VHCTとくらべると大分狭いことが分かります。動いているだけ見つけものだし。
1MHzの矩形波では、2.5Vp-pでも動きました。しぶとい。
しかし、流石に2.0Vp-pに落とすと、ダメです。ま、当然か。
TC7S14FU
上2つは、ゆっくりした三角波のせいで「中間電位を入力したところ」がヤバイ感じであるので、シュミットトリガ付きの7S14FUにしてみたところが以下に。(以下は3角波のVp-pが4V)
ヤバイ感じが消えてます。
3角波を振幅1.5V、オフセット2Vにしたときの結果以下に。これはOK。
しかし、以下のように3角波を振幅1.5V、オフセット1.5Vにしたときの結果はダメです。ヒステリシスの範囲内に収まってしまったみたい。。。
いつでもシュミットトリガ付きを使えば良い、というもんでもないみたい。どんな信号を通すのか良く考えてからやれ、と。大丈夫か?自分。
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