今回は前回LTspiceで「雰囲気みてみた」MOSFETの差動ペアを実機で動かすの回です。しかし半分以上失敗しました。前回アナデバ様の記事ご指定のデバイスが手元に1個しかないのでBSS138にするか2N7002にするか両方シミュレーション。でも2N7002のDIP化失敗の模様。珍しく半田付けできた気がしていたのですが。
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「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の前回、今回と以下アナデバ様の記事を参照させていただいております。
ADALM2000による実習:MOSトランジスタで構成した差動ペア
MOSFETのペアで構成した差動アンプで差動信号を増幅してみよ、というもの。前回は以下の3種類のデバイスに対してLTspiceかけてみました。
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- ZVN2110A
- BSS138
- 2N7002DW
1番のZVN2110Aを使え、との記事ご指定なのですが、手元のADALP2000学習用パーツキット(アナデバ製)には、ZVN2110Aは1個しか入っておらないのでした。そこで、手元に「沢山ある」BSS138を使うか、1チップに2トランジスタ入り、特性がそろっている筈の「差動ペア」向けにもってこいの2N7002DWにするかという話になっていました。ただ、2N7002DWのデータシートから1箇所引用すると、
Ultra-Small Surface Mount Package
です。半田付け不得意の老眼の年寄りには過ぎたるパッケージなのです。しかし汚い半田付けながらも動作OKだった前々回の東芝BJTの「ウルトラスーパーミニ」パッケージとほぼ同等。前々回動作OKだったことに気をよくして、今回も挑戦いたしました。一応半田付け後の「オープン、ショート」のチェックではOKに見えました。やったね。でも差動回路構成にしたらナゼか特性が変です。どこを失敗したのか。ちょうど0.65mmピッチのDIPS化基板の在庫も切れかかってしまったので、今回は見送り。トホホ。
BSS138で「差動ペア」原理回路の波形を実測
というわけで実験はBSS138のみになってしまいました。ご参考のため、前回LTspiceかけた実験回路を再掲しておきます。
上記通りにブレッドボード上に回路を構成して実機測定してみたものが以下に。黄色C1が入力です。前回のシミュレーションではアッテネータ通過後の回路図上の1+ 1- 間の差動電圧でしたが、今回実機ではV1とV2の電位差そのものです。青色C2が出力で上記2+ 2-間の差動電圧出力です。
入力信号がアッテネータ前なので入力振幅がデカイのは当然なのですが、前回のLTspiceシミュレーションではもっと急峻に立ち上がっていたような。。。ただね、LTspiceに食わせたMOSモデル・パラメータ、ちょっと怪しいものでした。パラメータのせい?それとも私?どこか設定間違っている??
X軸入力差動電圧(11:1アッテネータ前)、Y軸出力差動電圧としたXYグラフが以下に。
定性的には問題ないように見えるけれど、グラフが思ったよりナダラカです。
コモンモードのゲインを測る
例によってアナデバ様の記事にはコモンモードのゲインを測れ、というお題が出てます。アッテネータを外し、MOSFETのゲートに同じ入力信号を与えてみました。ピークツーピークで6V、オフセットOの100Hz正弦波です(黄色C1。)そのときの差動出力信号を測ります(青色C2。)
両方のトランジスタに同じ入力波形を与えているのですが、出力は190mVほども揺れてますな。ま、これは2個のBSS138の特性のバラツキの致すところ、と思えば「そんなもん」かも知れません。
しかしね、アナデバ様の記事では波形は「反転」で、それについて考察を迫られとります。でも上記は「非反転」。だいたい双方のトランジスタに同じ入力信号を接続しております。反転になるか非反転になるかは差動出力に接続してあるプローブの極性次第でないの?上の例でも2+と2-の位置を交換すれば反転の波形が得られる筈だし、回路的にはどっちのトランジスタに2+つなごうが等価なわけだし。。。どういうもんだろ。