「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年6月号の実習初回です。例によって初回はLTspiceでお茶を濁すの回です。6月のテーマはアクティブ整流器です。Pch MOSFET ZVP2110AのゲートをオペアンプAD8541で開け閉めして整流するもの。
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※アナデバ様の StudentZone 2022年6月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。
今回実験に使用する能動デバイスは以下の2つです。いずれもアナデバ製学習用アナログパーツキット ADALP2000所蔵のものです。アナデバ様記事では実デバイスをブレッドボード上で回路に組んで、アナデバ製ADALM2000で動作観察をすることになっているのですが、当方今回はLTspiceでシミュレーションです。
入出力レールツーレールのCMOSオペアンプ、AD8541についてはLTspcieにモデルが含まれているので、普通にコンポーネントの選択ウインドウから選択すればシミュレーション可能です。しかし、PチャネルMOSFET ZVP2110Aについてはモデルは含まれていないようだったので、上記のリンクから Diodes Inc.社の製品ページへ行き、spiceモデルをダウンロードして使わせていただいております。
シミュレーション用回路の作成
シミュレーション用回路はアナデバ様の記事通りです。Pch MOSFETのシンボルが記事とSPICEで違うのですが、これはいろいろ流派がある、という理解でよいのかな?
ZVP2110A、MOSFETのスパイスモデルは subcircuit定義になっているので、Pch MOSFETのM1を「コントロール右クリック」して設定を変更したうえで、SPICEモデルをINCLUDEしておく必要があります。
- .INCLUDE文追加(.OPコマンドで。LIBパスがSPICEモデルの置き場所を参照していること。)なお、ダウンロードしたSPICEモデルファイルの拡張子は.txtだと思います。当方、伝統的にSPICEモデルは上記のように.LIBとしていますが、.txtだろうと.LIBだろうとテキストファイルが読み込まれます。
- M1のアトリビュートエディタを開いたら、PrefixをXに変更。またValueをSubcircuit名に変更。
こんな感じ(変更箇所は黄色のマーカ部分。)
シミュレーションの実行結果、出力に220uFキャパシタの場合
黄緑が入力波形Vinの上の方(100Hz、 振幅5V、オフセット0Vの正弦波)、青がオペアンプ出力=MOSFETのゲート電圧 Vgate、赤がVoutです。
シミュレーション開始(電源投入)からの10周期分なので、最初6~7周期は徐々に定常状態に近づいている感じ。
同じ期間の、シャント抵抗Rs(水色)および、出力負荷抵抗RL(ピンク)に流れる電流が以下に。
シミュレーションの実行結果、出力に4.7uFキャパシタの場合
キャパシタを小さくしてみよ、ということで4.7uFにしたものです。当然というか、波形はガタガタ。でも容量が小さい分、すぐにVoutがVinのピークに近い値にまで到達しておりますな。
電流プロットが以下です。
「お手軽ツール」だと、実機測定結果からいろいろ計算する(電流平均値とか)のが簡単なのだけれども、Spiceでの計算の仕方忘れてしまいました。どうやったんだっけ。後で復習しないと(自分で手計算する気はないのね。)