お手軽ツールで今更学ぶアナログ(173) AD592、電流出力温度センサで温度を測定

Joseph Halfmoon

アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』2023年10月号の実習2回目です。前回は電圧出力タイプの温度センサAD22100で温度を測ってみました。今回は電流出力タイプの温度センサAD592です。前回は電圧から温度の変換に換算式必要でしたが、今回はμA単位の電流の読み値が即絶対温度(ケルビン)です。

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アナデバ様のStudentZone 2023年10月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習:温度センサーICの使い方

いくつかの別件記事(一例はこちら)でサーミスタなど「温度センサ」も実験しています。そのとき気づくのがサーミスタの「捻くれた性格」です。特性が非線形、よって「メンドイ」変換式(それ用のライブラリもいろいろあるけど)を使って温度換算することになります。

一方、前回からの実習で使用している温度センサは、アナログ値出力(前回は電圧、今回は電流)ですが、特性は素直、直線デス。それでも前回は1次式で変換してましたが、今回などは読み値から即温度(それも絶対温度)が分かるっと。それはいいんだが、測定系(お手軽ツール)の方の精度が問われてしまいました。

AD592

まずは今回ターゲットの温度センサの製品ページが以下に。

AD592 温度トランスデューサ、電流出力、高精度

温度センサではなく、温度「トランスデューサ」というところがカッコいいです。知らんけど。上記からデータシートを入手することができますが、このデバイスの特性は一言で言い表せます。

1μA/K

Kはケルビンです。このデバイスに流れる電流をμA単位で読めばそれが絶対温度だと。グラフを延長すれば絶対零度を通る直線になる筈ですが、計測可能範囲は-25℃から105℃です。

ただね、μA単位の電流計測メンドイです。今回実習では簡便に1kΩの抵抗つなげてそこでの電圧降下を測れとあります。抵抗1kΩに1μAが流れると1mVということなので、mV単位で読み取った電圧が即絶対温度じゃと。

実験に使った回路は簡単。以下です。AD592_DUT

実機動作確認

回路は簡単なので、即測れるじゃろとAnalog Discovery2の電圧計測機能を使ったところで気づきました。なんか電圧値低いんでないかい。どうみても室温21,2℃くらいあるのに電圧読み値が273mVを下回ってます。あれあれということでGNDの電圧を測ってみたらば、まさかの-20mVくらいが読めます。オフセットがばりばり載っている。どうやって測定値を調整するのだったっけ?

AD2の電圧測定の調整の方法は忘却の彼方なので後回しとし、ハンディテスター2台をもってきました。1台には熱電対を接続し温度を測定。もう1台で上記の電圧を測定してみました。

熱電対による温度読み値、26℃に対して、電圧は 299mVとな。

299-273=26℃

やったね。たまたまだけれどもバッチリ。なお26℃とか高めの温度になっているのは、例によって散々「ドライヤー」で温めて、温度や電圧が高くなることを確かめた後の値だからであります。完全に室温になるまで待てばいいのだけれど、時間かかるからな~。いい加減。

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