お手軽ツールで今更学ぶアナログ(174) AD2のAudio出力、あれこれ確認の回

Joseph Halfmoon

もう何年もDigilent製Analog Discovery2を使っていながら、今の今まで使っていなかった機能があるのです。本体裏側面にあるヘッドフォン印のピンジャックです。ヘッドフォンつなげば鳴るんじゃね、くらいな理解で触ることもなし。しかしこの度オーディオ信号を扱いて~ということになり、いよいよ活用。大丈夫か?

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まずはAD2の回路図を眺めてみる

闇雲にヘッドフォンをつなぐ前に、どの機能を使ったらピンジャックに「オーディオ」信号を出力できるのかAD2の回路図を見てみることにいたしました。参照するのは以下です。

Analog Discovery 2 Hardware Design Guide

ここを見ると以下の対応関係にあることが分かります。

    • AWG1 — ステレオの右チャンネル
    • AWG2 — ステレオの左チャンネル

毎度お世話になっているアナログ波形ジェネレータの1番がR、2番がLということみたいです。ただし、通常、AWG出力は振幅いくらとか指定して電圧で使っているわけですが、オーディオ信号に出てくるのはIV変換前の信号みたいです。よって制御ソフトウエアWaveFormのAWGの指定で振幅x[V]と指定してもそのような振幅が出るわけではないみたい。

ヘッドフォンを接続して音を聞く

音を聞かずば始まらないということで闇雲にヘッドフォンつないでみました。以下の別シリーズ記事でインピーダンス特性を測ってあった「ほぼジャンク」な一品。

部品屋根性(110) スピーカ、ヘッドホン、イヤホンのインピーダンス特性

AWG1を振幅1V、オフセット0V、周波数440Hzに設定して出力してみました。オーディオ素人の耳の悪い年寄ですが、音はR(右)から聞こえました。つづいてAWG2に振幅1V、オフセット0V、周波数200Hzを出力しました。今度はL(左)からより低い音が聞こえました。AWGの番号とステレオの左右は回路から読み取れる通りで間違いないっと。

ピンジャックから信号を取り出すための治具

ヘッドフォンをAD2に接続して音が聞こえたと喜ぶ気はないので、当然、取り出したオーディオ信号を個別に取り出して~ということになります。ここで取り出しましたのは、アナデバ製学習用部品キットに含まれる以下のボードです。TRRS_AUDIO_JACK_EC

アナデバ様の部品キットのホームページ上は、

TRRS Microphone In

などとタイトルされていてマイクロフォン専用?のピンジャックかと思いましたが、当方で勝手に調べたところでは、

3.5mm ミニプラグ(4極)を差し込めるブレッド・ボード用ジャック

です。ヘッドフォン、イヤフォン、マイク付きのイヤフォンなど各種のデバイスを接続し生の信号を取り出すことが可能っす。部品キットの以下ホームページから搭載部品のデータシートなどにたどり着くことができます。

ADALP2000 Product Description

上記のブレッドボード上のピン配と3.5mmミニプラグの極との関係は以下のようです。3_5mm ミニプラグ

ブレッドボード上に存在する5番ピンは、TIPというのかな、プラグが挿入されているか否かを検出するためのスイッチみたいです。未挿入時、2番ピンと5番ピンはショート状態。プラグを挿入するとオープンとなります。

4極の治具としては、1番がGNDでも4番がGNDでもどうでも良いです。接続するお相手次第で

    • CTIA (Cellular Telephone Industry Association)
    • OMTP (Open Mobile Terminal Platform)

どちらでも良いっと。とりあえず手元の4極マイク付きイヤホンは、2番L、3番R、4番MICで1番GNDのOMTPみたいなので、以降4極使って実験する場合はOMTP式といたします。

AD2のオシロ機能でAudio出力波形を眺めてみる

以下のようにAD2のAudio出力とヘッドフォンの間の信号をあたれるようになったので、波形を確認してみます。AudioOUT_DUT

まずはAWGの設定を振幅1V、オフセット0V、周波数440Hzとした場合に、先ほどのヘッドフォンを取り付けた場合の波形。AWG1_1V_440Hz

ピークツーピークで約252mVとな。

つづいて振幅を500mVに変更。AWG1_500mV_440Hz

ピークツーピークで127mVとな。ほぼほぼ半分。

今度はヘッドフォンを抜いて、オープン状態。まずは振幅1V設定時。AWG1_1V_440Hz_NOLOAD

 

ピークツーピークで約367mVとな。

振幅500mVのオープン。AWG1_500mV_440Hz_NOLOAD

ピークツーピークで約184mV。

これでAudio出力つかった実験できる?大丈夫か。

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