さて、別件シリーズでRC/RL/RLCローパスフィルタの周波数特性をシミュレーションし悦に入りました。しかし「現物でそんな上手く行くわけねーずら」という声が聞こえてくるような。。。気のせい?そういうことで確認のため「シミュレーション通りの定数」の現物回路を組み立てて実機で測定してみました。確かに理想と現実は違う?
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RC/RL/RLCローパスフィルタの周波数特性シミュレーション
別件シリーズの記事は以下です。
SPICEの小瓶(48) RC、RL、RLCローパスフィルタの周波数特性
そしてシミュレーション結果の再掲が以下です。灰色がRLローパスフィルタの周波数応答、赤色がRLCローパスフィルタの周波数応答です。黄緑がRCローパスフィルタの応答なのですが、今回は「L」に絞って追及するので、RCはパスであります。
赤のRLCも灰色のRLも約2.3kHz付近にカットオフ周波数があり、そこからRLは1ディケードあたり20dB、RLCは1ディケードあたり40dBという割合で「落ちて」いきます。(※2024年6月6日単位訂正)
実機動作確認
まずはシミュレーションの「灰色」の方、RLローパスフィルタの方です。以下は実機回路でとった周波数応答波形です。2点疑問あり、シミュレーションでは低い周波数では0dBであったハズの振幅が、以下の実機では-8dBくらいです。なんでそうなるの?そして、カットオフ周波数は2.3kHz付近だった筈が5kHzを超えてます。
何でそうなるの? ということで原因追及。まずは実波形を観察。100Hzの正弦波を入力(黄色)したときの出力(青色)波形。
確かに減衰しておりますな。まあ、多分、確実にコイルに含まれている抵抗成分やらブレッドボードで実験しているための接点やら、長大な配線やらのもろもろの抵抗成分(抵抗勢力、違うか?)のせい?
Digilent Analog Discovery2 のインピーダンス・アナライザ機能に御出馬いただき、インダクタンスを調べてみました。こんな感じ。
額面470μHが450μHなのは規格内(±10%)なので許容範囲内ですが、見掛けの直列抵抗10Ω以上あります。直列抵抗の周波数応答を調べると以下のようです。
100kHz超えたあたりからグングンうなぎのぼりね。だいたい今回みたいな定数で10Ωついていたら影響ない筈がないっす。
シミュレーションの「赤色」の方、RLCローパスフィルタについても実機問題点を見ておきます。
先ほどのコイルの抵抗10Ωの件で両方の説明がつくのか?
再シミュレーションして確認
再シミュレーション用の回路図が以下に。赤丸のところをご覧くだされ。
コイルに直列に10Ω入れてみただけ。このシミュレーション結果が以下に。
ほぼほぼ実機シミュレーション結果に「寄せた」感じ。直列抵抗10Ωもあるのなら、似たような大きさの抵抗と組み合わせてフィルタなんてダメだ~。