5,6年前だったかもしれません。表紙と内容のギャップに萌える技術書に出会ったのは。その時はソフトだったですが、日本語の解説書などまだない分野に、表紙だけみるとマンガ本に見えるが、内容はかなり高度な技術書が売られていて衝撃をうけました。どうもそれ以前からの潮流であり、年寄りが気付いていなかっただけで若い人々はとっくに進んでいたのでした。コミケならぬその手の本のイベントもあり、凄い時代になったものだ、と感心しておりました。
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とは言え、老人は腰も重く、なかなかイベントへ参加するなど思いもよらず。また、今年は「コの字」で中止のようです。そんなころ、通販で「その手のご本」を1冊買ってしまいました。
新刊書ではありません、2013年初版
奥付をみれば、初版以降、4版を重ねており、私が入手したのは第4版(改定版)だそうです。なぜ、私が買ったか、すでに著者AKIBAJIN殿は、その心を見抜いておられましたぞ。1行引用させていただきましょう。
うわぁ~なつかしいなぁ、学生以来かなそんな言葉聞いたの(ほのぼの
たしかに、今を去ること40年程前、大学の実習で「アナログコンピュータ」をプログラムしましたよ。後にも先にも実物の「アナログコンピュータ」を使ったのはこれ一度キリです。しかし、その当時にして実習に使われていた「アナログコンピュータ」は既に使い込まれ、そしてかなり古めかしい雰囲気の機械でした。確か実習では2,3の微分方程式を解いて何か?考察したような気がします。卒論で微分方程式を解く必要があったのですが、アナログコンピュータは使わず、当時出始めのパーソナルコンピュータで1か月(CPUタイムです)程計算して必要なデータをそろえました。かなり簡略化したのだけれど。
さて、アナログコンピュータのプログラミングみたいなことを最近もまたやってしまっていることに気付いてしまいました。ブレッドボードに刺したオペアンプにジャンパ線をつなげている。そうです、アナログコンピュータの「プログラミング」というのは、ジャンパ線を刺すことができる「ボード」に配線をしていくことなのであります。今のブレッドボードのような小さなものではなく、かなりデカイ。配線もかなり太かった気がする。そして、走らせると、ゆっくりとペンが波形を書き出していく。おお。
最初に微分方程式が解けたときにはかなり感動しましたが(なにせ数学できなかったので、解析的に解くのは苦労していた。これさえあれば数学やらんでも解が求まるじゃん、とぬか喜び)、ですが、実際に解かねばというころになると、まだ出始めで今に比べたらとてつもなく遅いパソコンでも、「結局デジタルでないと」ということになりました。多分、ま、世間一般そういうことになって、アナログコンピュータは製品としては廃れてしまった。それをAKIBAJIN殿が発掘なされて本にされた、と。素晴らしい。
そして実際に解く例題として「ラブサーキット」を取り上げなすった、と。ラブサーキット、ぶっちゃけ、リサージュ図形の変種、みたいなものに見えます。X-Y平面にハート型を描くもの。正直いうと、アナログコンピュータなら、王道の微分方程式から入るべきだよね、と思ったんであります。しかし、それにはご友人の方からツッコミが入っていました。こんどは、あとがき、から1行引用させていただきます。
「なんでよりによってラブサーキットやねんw、アナログコンピュータなら微分方程式を解かないと…」
私が言いたかったことそのものズバリ。しかし、その後の良く分からない弁明はさて置き、多分、いまさらアナログコンピュータで微分方程式がとけてもなんだかな~、面白くないな~というところじゃないでしょうか。このご本では、駆け足でアナログコンピュータの説明をした後、
LTspiceつかってシミュレーション
を行っています。実際にハートマークがかけるのですが、私が思ったことは、大学の先生がツッコミを入れてくれたようです。また1文引用させていただきます。
「実装回路での結果を見せなきゃ!!!」
ということで、回路実装し、ちょっと歪なハート型をオシロに表示されています。勿論、歪の理由の考察付き。回路実装は今時当然とも言えるオペアンプとブレッドボードでした。なんだ、最近、私がやっていることと同じだな。
ちょっと勝手な意見を書かせていただけば、アナログコンピュータの解いていたような仕事が不要になったわけではなく、それどころか現代の方が需要は何ケタも増大しているです。ただ、アナログコンピュータを手作業で配線して、プロッタに描かれた波形(RUNのたびに微妙に違ったりする)を読むような牧歌的なやり方では需要に合わなくなっただけのこと。昔、アナログコンピュータを使っていたような仕事を代替しているのは、デジタルコンピュータの上のソフトウエアであり、そういうソフトウエアの代表選手と言えるのが、
Matlab
じゃないかと思います。また、アナログコンピュータに使われた技術が半導体式のオペアンプに繋がった筈なので、今や無くてはならないオペアンプはアナログコンピュータのレガシーと言えましょう(本当か?)
それで、アイキャッチ画像には、狸奴(りど様とお読みするようです、当初たぬきやっこ、などと読んでおりました。すみません。)様の表紙の上に、手持ちのアナデバ社のオペアンプを並べてみました。順番はこちらのとおりです。