実を言えば、このMCU屋さんを経めぐるシリーズの最後までとっておこうと思っていたのです。MCU業界の元祖、本家、なんと形容してもよいでしょうインテルです。しかし、先手を打たれてしまいました。インテルの製品ラインの中で、ただ3機種(オーダー番号には5品種)、ROM、RAM搭載したマイクロコントローラとして残っていたQuark 製品に悲しいお知らせです。インテルが1月18日に出した資料からタイトルを引用させていただきます。
Intel® Quark™ products,
PCN 116715-00,
Product Discontinuance, End of Life
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いわゆるディスコンの通知です。当然、最終出荷日も予告されていて 2022年7月17日だそうです。いろいろ困る人もいるのでしょう。まだ3年以上あります。
Long Good Bye… 違うし
しかし、ディスコンはディスコン。今後の新規採用はあり得ませんし、使っているお客が居れば、代替品の開発を進めるでしょう。今後は急速に出荷数量を減らすことになるのだと思います。Quarkと言えば、インテルが、
一時、鳴り物入りでQuark搭載ボードをみせびらかしていた
記憶はそう遠いものではありません。しかし、Quark応用のボード類は一足先にディスコンとなり、とうとう本体、半導体製品にもEOLの宣告です。いちおう、対象となるマイクロコントローラの機種の名前を挙げておきましょう。
- Intel Quark Microcontroller D1000
- Intel Quark Microcontroller D2000
- Intel Quak SE C1000 Microcontroller
の3機種です。D1000は8kB OTP, 8kB SRAM, 32kB Code Flash, 4kB Data Flash. D2000はData Flashが8kBに増えたもの。SE C1000は前の2つに比べるとゴージャスなタイプで、Flashは384kB、SRAMも80kBです。スペック的にはどれもまっとうなマイクロコントローラだと断言できます。そしてコアは、
x86
命令セットはPentiumと互換(32bit)です。SEの方はx87浮動小数点命令までサポートされているようですが、D2000の方には無し。EOLです。これ以上あれこれほじっくっていもいたしかたありません。終わりました。この先、突然気が変わって新しいマイクロコントローラを出さない限り、2022年7月になったら、インテルをマイクロコントローラのリストから外さざるを得ません。
しかしね、昔はインテル、マイクロコントローラが経営の柱の一本だった時代もあるのです。8048、8051、8061、8096、皆インテル発祥のマイクロコントローラです。どれもベストセラーというだけでなく、マイクロコントローラのあるべき道筋を示してきた名機ばかりと言って差し支えありませんでしょう。このシリーズでも「レガシー8051」ということで8051を追いかけてきました。今でも8051は世界各地でしぶとく生き残っているのは見てきたとおりです。しかし、ご本家インテルではマイクロコントローラは次々とディスコンとなり、その燃えカスの中から一時復活したのが、Quarkコアのマイクロコントローラだったように思われます。それも滅亡と。インテルの組み込みに対する冷ややかな態度は今に始まったことではありませんが、x86アーキテクチャでマイクロコントローラに打って出たQuarkコアのMCUは今度こそインテル本気なのかな~と期待していただけに、残念な限り。やはり
IoTはデータセンター側でデータを握ったものの勝ち
IoTは末端のデバイス商売じゃない
ということで、末端のQuarkを切り、データセンター側に集中するのでしょうかね。さみしいね~