エナジーハーベスティング(日本的には環境発電というらしい)に相当する技術の話を始めて聞いたのは、20世紀も終わりの頃でした。話を聞いた相手もよく覚えています。名前は書きませんが、イケメンですが髪の毛がちょっと残念なヨーロッパ人です。ただ、その頃はエナジーハーベスティング(ハーベスティングはイメージの良い言葉です)とは言わず、エナジースカベンジングと唱えていました。
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スカベンジングではマーケティング的にBADと考えた人がいたのでしょう。それで看板を掛け変え、ハーベスティングと。以来、20年くらいでしょうか。今では、市場にも定着し、IoTの中の一分野として確立しているようにも見えます。けれど、正直、20年前に話を聞いたときに私が想像したような大ブレーク、という事態にはなっていないのではないかと思います。確かに使われているんだけれどもニッチ。何でかと言えば、電池や配線で済む用途であれば、そっち(どっちだ?)へは行かないから。なにせ1次電池は安くて安心。コンビニへ行けば単三電池が100円で4,5本も変えます。CR系のボタン電池でも2個くらいか。まあ産業用途にコンビニ電池は使わないでしょうが、数年に1回くらいの電池交換が許せるなら、1次電池使った装置の方が遥かに安く確実です。また、電源配線(かっこよくカッパーなどと言いましょう)を引くのはお金が大変とは言っても、どうせコンセントなり電灯なりで電源配線はなされます。そいつらに装置を簡単につなげられるのであれば、その方が確実です。結果、配線をするコストが酷く高いとか、電池交換が簡単にできないとか、かなり限定されたニッチな局面に限られると。ここまでは主としてコスト面でした。それに加えて、使える電力の小ささも用途限定の一因じゃないかと思います。何かの開閉とか、たまに温度を測るくらいの用途であれば十分かもしれませんが、センスするのに電流食うセンサも多いです。そういうセンサでないと測れないようなターゲットは射程に入らない。常時、データを大量にアップするような用途も無理。それに最近の流行りは、末端のデバイスにまでAIっぽい処理をさせようという方向。エナジーハーベスティングのデバイス側に押し付けるのはさすがに無理でないかい。ううむ、あれこれ難癖つけるようなことばかり書いてしまったですが、それでも需要はあります、あるでしょう。静かにニッチに浸透していくのでありましょう。