介護の隙間から(1)介護は心、デバイスができることはわずかですが。。。

予め申し上げておきますが、デバイスが介護のために出来ることなど高が知れています。介護は、気持ちというか、心というかを抜きにはすることも、されることもできない、と考えるからです。しかしそれでも多少なりともデバイスに存在価値があるのは、どちらかと言えば、介護をされる側の方のためというより、介護をする側の方のためかもしれません。楽をする、などというべきではないでしょう。身体と心の消耗を防ぎたい、少しでも安心していたい、といった期待に応えるデバイス、というべきでしょうか。
さて、デバイスビジネス開拓団では、介護向けのデバイスを以下のような3カテゴリに勝手に分類することにいたしました。

  • カテゴリ1 介護保険の対象になるデバイス
  • カテゴリ2 介護を主対象とする製品やサービス向けのデバイス
  • カテゴリ3 介護が主対象ではないのだけれど、介護に使うと便利なので使われるデバイス

介護保険に無縁でご存知の無い方向けにカテゴリ1について説明させてもらうと、介護保険のサービスを利用できる対象者になるためには、被保険者であるだけでは駄目で「認定」というプロセス(通例1か月くらいかかるようです)が必要です。そして認定に当たって「要介護度」というランクが決められるのです。一番軽い要支援1から一番重い要介護5まで、要支援2段階、要介護5段階です。このランクにより在宅サービスの利用額の上限が決定されます。一方、自己負担額は、対象者の所得により割合は異なるものの、最低の負担で1割自己負担となっています。決められた利用額の範囲内の介護プランに基づき、必要な用具を購入したり、借りたりできるというわけです。購入できるものと借りるものとも細かく決められており、電子デバイス的には「貸与」される物品のみです。

対象となる用具、装置も法令で決まっており、その中に電子デバイスを必要とするものがいくつかあります。例えば「特殊寝台」というものです。床面の高さや角度が調整できるベッドのことですね。多くはモータ駆動で、コントローラが付属するので立派な「電子デバイス」応用です。特殊寝台は介護の現場では定番ですが、でも正直「デバイスビジネス」からは遠いです。ぶっちゃけリモコンの部分だけ。リストの中ではただ一つ、「認知症老人徘徊感知機器」という製品こそ、電子デバイスらしい電子デバイスというべきでしょうか。何かしらのセンサを使い、そしてほぼ必ず無線です。電子デバイス!これを借りることができるのは、「要介護2」以上の対象者に限られます。

次回より、カテゴリ1から順に「研究」していきたいと思います。今回そのためにリストアップしたところ、なんと70社以上の会社が「認知症老人徘徊感知機器」を開発していたり、輸入しているということが分かりました。方式もいろいろです。

「介護保険適用の電子デバイスの市場規模」へ進む