介護の隙間から(4) 無線方式どれが適すか

JosephHalfmoon

前回のセンサに続いて、今回は「認知症老人徘徊感知機器」に使用される無線について考えてみたいと思います。現状、ちょっと調べただけなので、明らかに使われていると分かった無線方式もあれば、今のところ使われている形跡のない無線方式もあります。とりあえず独断で使えそうな無線方式を勝手な分類で列挙し、それぞれの利点、欠点を表にしてみました。

カテゴリ利点欠点
小電力無線(特定小電力無線含む)ある程度の距離、数十m範囲くらいは確実。国内で開発可能。日本独自規格。インターネットにつなげるには別にゲートウエイ必要
微弱無線電池の持ち?出力が小さいので通信可能範囲が狭い
2.4GHz帯の独自規格クローズドな環境他の機器との混信。インターネットにつなげるには別にゲートウエイ必要
WiFi系アクセスポイントなど市販品使える。インターネットに直結可能。他の機器との混信。セキュリティ面の心配。
携帯電話系通信距離気にしないでよい。インターネット接続もOK。携帯電話会社との契約と毎月の使用料が必要。
IoT系の通信規格。LoRa、Sigfoxなど通信距離気にしないでよい。インターネット接続もOK。インフラ整備途上。毎月の使用料かかる。
ZigBee, Bluetoothなど既存の装置との接続簡単。用途、特徴的に徘徊感知用には向かない?
パッシブ型RFID小さな防水のタグを身体につければ検出できる出力小さいものは距離が飛ばない。出力大きいと人体に向けられない。

この装置に利用する上で前提となる条件は、その使用に際して無線従事者資格も無線局免許も不要、でなければならないという点が挙げられます。免許がなければ使えないとか言われたら介護者はお手上げですから。しかし、「微弱無線」を除けば、どの装置も技術基準適合証明、いわゆる技適が必要です。「微弱無線」にしても「性能証明」をするのが普通なので、どれもメーカー側で装置としてちゃんと処理をしているということです。

明らかに使われているのは小電力無線です。「小電力セキュリティシステム」に該当する装置があります、また「特定小電力」のカテゴリに収まる装置も存在します。小電力無線は、それほど大きな建物でなければかなりな範囲をカバーできるのでこの装置には向いているものと思います。ただし、日本独自規格なので海外での使用は難しいでしょう。これに対して「微弱無線」もあるのですが、出力的にあまり飛ばないので多分使われている可能性は低いものと考えます。Bluetoothも同様な欠点があるので駄目でしょう。同じ、2.4GHzのISMバンドを使用する方式でも出力の大きいWiFiや同様な出力の独自通信方式であれば、ある程度の範囲をカバーできるので使えるのではないかと思います。ここで、インターネットに直結もできるWiFiと直結できない独自方式を比べると、必ずしもWiFiとも言えないのではないかと考えます。セキュリティというか、プライバシーというかを心配するとオープンな方式よりクローズドな方式で敢えて「離れ小島」にしておく、というのも一つの見識ではないかと思うからです。ただ、ランプやブザーでお知らせをするだけでなく、きっとメールも飛ばしたいといった需要は必ず出てくると思うので、インターネットへの接続オプション的な装置が別にいるのかもしれません。

通信範囲が広いという点では携帯電話のインフラに乗って、3GやLTEで通信するのが一番ではないかと思います。最近は、IoT向けに安い使用料で使えるSIMもありますが、費用的な面が欠点かもしれません。他にIoT向けにはLoRaとか、Sigfoxなど新な通信方式も出ています。通信範囲が広いので「認知症老人徘徊感知機器」に使うとまた違ったものができるのではないかとも思うのですが、まだ普及しているとは言い難いのでまだちょっと先かもしれません。IoTと言えば、ZigBeeもあり、機能的には使用できないこともないと考えますが、別にセンサーネットを組む必然性に乏しく、そのような通信基盤がそろっているところならいざしらず、通常の場合は向かないのではないかというのがこちらの勝手な意見です。また、パッシブのRFIDも可能性はない分けでないと思います。しかし、通常のオフィスの入退場管理に使っているような近距離のリーダとフラッパゲートやオートロックのドアというような組み合わせは介護者の入退場の管理には使えるでしょうが、「徘徊検知」ではないですね。また、流通の現場で使われるようなUHF帯のRFIDならある程度の距離が飛ぶので通路に設置すれば検出は可能でしょうが、人体に向けて発射するには問題のある出力なので使われることはないでしょう。

勝手な意見をいろいろ述べてきましたが、次回からは、実際の装置の事例にあたって、どんなセンサでどんな無線を使っているのか調べていきたいと思います。

「センサの分類」に戻る

「ベッド会社の徘徊感知機器」に進む