介護の隙間から(7) 「ベッド」の特許に意外な会社が。。。

JosephHalfmoon

前々回、ベッド業界の2巨頭の対比を調べてみました。電子デバイスの応用は幅広いとは言え、私には背景知識のない業界なのでとても興味深かったのです。また、前回の徘徊検出向けのセンサの特許をざっと調べる件は、ありとあらゆるセンサが動員されている感じで、アイデアは尽きないものだと感心しました。それもあって、徘徊とか転落とかに関係しそうなベッド回りのセンシングの特許をもう少し調べてみました。ちょっと驚いたのが、そこにあらわれてくる意外な会社の名前です。

多くの会社が出願されている中で、着目する会社名だけを以下の表にまとめました。かなり恣意的に選んでいる点ご容赦ください。

会社名出願件数時期
アイシン精機52010以降も出願
清水建設42010以降も出願
デンソー12000年代初め
ヤマハ発動機12000年代初め
川崎重工業12000年代初め
パラマウントベッド192010以降も出願
フランスベッド0---

まず謝っておかねばなりますまい。表の冒頭にアイシン精機殿をリストしていますが、「意外な会社」ではあり得ないのです。ちゃんと調べればわかることですが、アイシン精機殿は「住生活関連」機器部門を持たれており、ベッドはその部門の看板商品の一つ、なんだと思います。ASLEEPというのがブランドです。ですから前々回はついパラマウントベッド殿とフランスベッド殿の徘徊検知「のみ」を比較してしまうという暴挙にでてしまいましたが、ここにアイシン精機殿を落としていたのは痛恨のエラーということであります。アイシン精機殿が介護用品も販売されているという認識は持っていたのですが、ついつい自動車のイメージが強すぎてアイシン精機=ベッドメーカでもある、という視点が抜け落ちていました。流石にベッドメーカ(いまさら持ち上げてもどうにもなりませんが)、ベッドからの高齢者の転落事故を防ぐ/検出するための装置などを出願されております。2番目の清水建設殿も、建設会社がベッドといと「意外」なのですが、これも石頭の想像力不足。よく特許を読めば分かります。使用シーンとして想定されているのは病院の病室のベッドなのです。当然、病院建築を考えておられる筈。別に突然の多角化でもなんでもないのです。そしてセンシングの方法こそ、とても建設会社らしい技術です。「3次元の距離計測」によりベッドからの転落可能性を検出するのです。次にあげた3社は各社特許1本づつではありますが、やはりベッドとは結びつかない3社です。それも同時期。実は、2000年前後くらいの時期に畑違いの各社が一斉にベッドを研究していたんじゃないかという形跡を発見しました。ここにあげた川崎重工殿、デンソー殿、ヤマハ発動機殿以外にも、今では組織が変わってしまいましたが三洋電機殿、日本電信電話殿、パナソニック電工殿など、ベッドからは直ぐに連想できない会社が介護、見守り用途と思われるベッドサイドのソリューションに取り組んでいたように見えます。なお、ヤマハ発動機殿だけは目的が違ったようです。水流による「マッサージベッド」、船外機かなにかの応用でしょうか。ま、高齢者のマッサージ用途が念頭にあったようなので、高齢者のケアとくくれば外れてはいないのですが。

現在は「一周まわって単純な徘徊検知から突き抜けている」ようにみえるパラマウントベッド殿も流石に本流のベッド会社ですね、徘徊やら転落防止やら向けらしき19件ほどを見つけました。ところがフランスベッド殿0。特許だしていないの?と不思議に思い、徘徊とか転落とかを外して検索しなおしました。

会社名出願数
パラマウントベッド542
フランスベッド305
アイシン精機273

良かった。フランスベッド殿も305件あります。自分で特許を出願されていないわけではなく、どうも自社のベッド技術に外部から調達したセンシングとか無線とかを組み合わせている、という会社のスタンスからくる傾向なのかもしれません。しかしね。分かっていてもアイシン精機殿が「ずれないマットレス」の特許とか出願されているのは新鮮。

次回はこのベッド回りのセンシング技術の「源流」はどの辺にあるのか、探っていきたいと思います。ようやくこの業界のセンシングの本流に迫る?

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