部品屋根性(2) HDMIケーブルを延長?

WiFiとか、プラチナバンドとか言葉が出てくる無線は、見えないけれど一般にもプレゼンスは大きいと思います。それに比べると、各家庭に光ファイバが通って久しいわりには、オプト系つまり光を使って通信する場合に用いる各種の電子デバイス(光学系もふくみます)のコンシュマーに対するプレゼンスは大きいようには見えません。この頃(といって何時からなのか、20年前のこともこの頃といってしまう今日この頃)、市場的にも非常に大きくなっているにも関わらずです。データセンタとかスパコンとか、高い光ファイバの束がごっそり通っているような場所もままありますが、普通に目にするものでもないからでしょう。とは言え、今この文字入力もどこかで光ファイバを通じてサーバに至っている筈。なにか光ファイバのご利益が目に見えるような身近なアプリはないかいな、ということでちょっと調べてみました。

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HDMIケーブルは、映像をディスプレイに送るときに最も良く使われているケーブルじゃないかと思います。BDプレイヤーなどからTVまで、せいぜい数mを繋ぐ、といった用途が一番普通に使われる形態かと思います。広い部屋などでは数mじゃ足らないということもあるかもしれません。また、展示会の会場の設営なやらサイネージみたいな場面では、バックヤードの装置から、ディスプレイまで何十mも長いケーブルが欲しいな~などということもあるかも。そんな場合にとれそうな接続手段を以下に列挙してみました。

パッシブ(メタル)~5m程度金属ケーブル。汎用。方向なし。
アクティブ(メタル)~数十m程度金属ケーブルだがコネクタ内にIC。波形を整形。方向あり。
光ファイバ~100m程度光ファイバ。コネクタ内のトランシーバで電気-光変換。
エクステンダ(LANケーブル)~100m程度HDMI信号をLANケーブルを通る信号にマップする。
エクステンダ(ワイヤレス)~数十mていどHDMI信号を無線信号に変換。

最初の「パッシブ」というのは、要は電線です。メタルの普通のケーブル。材質とか特性とかで差はない分けではなく、値段もかなり違うと思いますけれど、物理的に~5mくらいの伝送に使用するのが適するもの。その代わり汎用性は高く、ケーブルのこっちの端とあっちの端がコネクタの形状が違うケースはともかく、電気的には入替可能。

次の「アクティブ」というのも電線ですが、電線だけでなく、コネクタの内部に能動的に波形を整形する動作をするICが組み込まれています。長い距離のケーブルを通したことで歪んでしまった電気信号をできるだけ綺麗にして伝えてくれるものです。これにより数十mといった距離まで届く(可能性が)ある。その代わり、ICには方向があるので、映像信号の流れる方向は一方通行にしないとならない。同じ形状のコネクタだとしても逆に差すと画面が写らないっと。

そして3番目の形態も「アクティブ」の一形態に分類されますが、電線でなく光ファイバを用いるもの。両端のコネクタには電気から光への変換器(トランスミッタ)と光から電気への変換器(レシーバ)が組み込まれています。なにせ、光は、人間の周りに充満している電磁的な各種ノイズに影響をうけないので引っ張れます。普通に売られている製品で100mくらい。

第4、第5の形態も回路的には「アクティブ」ではあるのですが「ケーブル」という形態ではなくなります。小さな箱型の電子装置で、HDMIの信号を他の型式に変換してやって遠くまで伝達しようというもの。一つは、Ethernetで使われるLANケーブルに変換する有線方式。10Gビットを超える規格が主のデータセンタやスパコンなどでは、Ethernetも数m超えると光トランシーバを使った光ファイバになりますが、LANケーブル自体は扱いやすく、伸ばしやすいのでHDMI信号を一端それに変換してから引っ張って、その先でこんどは逆にHDMIに逆変換してつなぐことで、50m、うまくいけば100mくらい届くようになるようです。このLANケーブル部分をWiFi系の無線通信に置き換えればエクステンダのワイヤレス方式となります。ただし実用的な距離は数十mくらいがせいぜいでは。

じゃ、一番遠くまで届く光でいいじゃん、と思いますが、そうはなりません。光トランシーバの値段はかなり高い。結果、パッシブのケーブルとは「けた違い」の値段となります。また、光ファイバは取り扱い要注意なので、雑な扱いは故障のもとでしょう。よって、メタルのケーブルで済む範囲ならメタル、そうじゃないときは光、みたいな住み分けが必定、と。

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