IoT何をいまさら(5) 温度センサ

JosephHalfmoon

IoTなどという言葉がなかったころから、デバイス屋は何かをセンシングし、遠くにそれをお知らせするような製品を作ってきたのです。けれどIoTになってどうなったか、デバイス屋がやっていることはあまり変わらない気がするのです。しかしデータをお知らせした先で何か処理をされると、昔からあったデータが何か宝の山に変わっていく。結果、デバイス屋の儲けがどこか遠くのサーバーの方に吸い取られていく。ぐちは止めておきましょう。今日は、センシングの基本中の基本、温度センサのおさらいをしておきたいと思います。なにせ物理現象は温度によって影響を受けるものだらけです。当然、センシングによっては温度補正が必要なものも存在します。温度に影響をうける物理現象が多いだけに、その測定方法も多様。また、同じ原理でも、お安いものから、超高級品までいろいろあるのが温度センシングの世界のようです。

とりあえず、手元のノートに長年メモってきた温度センサのいろいろを表にしてみました。左側に原理的なものを、右側にセンサの一般的な名前を書き記してあります。

気体の膨張蒸気圧温度計、差動式スポット型感知器
液体の膨張水銀温度計、アルコール温度計、カーボンナノ温度計
固体の膨張バイメタル
抵抗値の変化(接触)白金抵抗温度計、サーミスタ
熱起電力熱電対、サーモパイル
発振周波数水晶温度計
焦電効果焦電センサ
比誘電率変化静電容量式温度センサ
抵抗値の変化(非接触)マイクロボロメータ
色温度パイロメータ
キューリー温度感温リードスイッチ
液晶のピッチ変化液晶温度計
IC内部の抵抗値の変化(接触)IC温度センサ

最初は、温度が高くなると気体が膨張するのを検出して温度を知る、という装置ですね。まさにお高いものと、そうでないもの1対。蒸気圧温度計などはまず普通には使わないでしょう。一桁「ケルビン」の標準温度計。それに対するスポット型感知器は、気体がプッと膨れてダイアフラムを押したら「火災」を知らせる報知器ですね。次は液体の膨張で、おなじみ水銀温度計にアルコール温度計。これも無理やりIoTに使用しようと思えば、動画でとって画像処理すれば立派にデータ収集できないこともありません(他のセンサ使った方がコスト効率よいですが)。最後に書いてあるカーボンナノ温度計というのは、「世界最小の温度計」ということで話題になったもの。カーボンナノチューブの中に液体ガリウムが入っているのだそうです。原理はアルコール温度計と同じ。固体の膨張を使うものはおなじみバイメタル。膨張率の異なる金属の張り合わせで見ると。

次からは電気的なセンサです。抵抗値の変化を見るものはいくつもありますが、最初はセンサそのものを測りたい物質に接触させて用いるタイプ。これもお高い白金抵抗温度計と、お求めやすいサーミスタがならんでいます。白金は計測できる範囲が広いだけでなく、特性も真っすぐ。それに対してサーミスタは特性がねじ曲がっている(すみません)。でもマイコンで温度測るといったら一番簡単なのがサーミスタですね。同じサーミスタでも特性によりいろいろ種類があります。熱電対やサーモパイルは熱起電力で温度を測るもの。2種類の金属を接続し、一方を基準の温度に保つことで、他方の接続点の温度を求める熱電対は接触型ですが、サーモパイルは非接触で赤外線を拾うものです。次は発振周波数の変動から温度を知るもの。水晶温度計。水晶発振器は温度に影響を受けやすいので高精度で正確な周波数が欲しい場合には温度一定にして用いるタイプ(お高い)を使うわけですが、これはそれを逆手にとって温度を知るわけです。測定器なのでこれもお高い。昨日取り上げさせていただいた焦電効果を使うセンサもモーションばかりではなく、特定の周波数に絞って検出することで炎などを見つけられます。また、抵抗変化を見るものなら、一方、比誘電率変化を見るものも存在します。静電容量式の温度センサです。どうもこれは温度というより圧力など温度に関連する他の物理量測定に向くようです。また、同じ抵抗値の変化でも非接触で、つまりは到着する赤外光を熱に変えて測定するマイクロボロメータもあります。こちらは温度分布を画像で示すサーモグラフィに使われます。普通のレンズでは赤外線を通さないので、これはレンズもお高い。

また、磁気的な現象からも温度が分かります。キューリー温度で磁性体の性質が変わるので、フェライトの磁性の変化でスイッチを入れたり切ったりする感温リードスイッチというものがあります。電気的な測定にはどれも電気を流して計測するという過程が必要ですが、これは温度でスイッチがON/OFFするので待機電力ゼロ。なかなかの優れものです。さらに普段は表示装置として使われている液晶も、温度でピッチが変わり、つまりは色が変わるので温度計になります。

最後、接触して抵抗値の変化を見るということは前述のサーミスタなどと一緒なのですが別項にしてあります。IC内部の抵抗値の変化を電流変化などに変換して出力するIC温度センサです。こちらがIoT向けだと一番アリなセンサじゃないかと思います。次に取り上げるときには、こちらを詳しく掘ってみたいと思います。

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