IoT何をいまさら(4) 焦電センサ

徘徊検知装置の調べで人感センサとして度々登場するのが焦電型のモーションセンサです。人感センサとしては定番のセンサと言っていいでしょう。IoT分野での利用も多いのではないでしょうか。しかし、調べてみると、人感センサとしての使い道以外にも応用がいろいろあることが分かってきました。

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まずは国内で入手可能と思われる焦電センサ(英語圏ではPIR:Passive Infrared Sensor、と呼ばれることが多いようです)の主要供給元を表にしてみました。(ウチの会社抜けてる、怪しからん、という方はお知らせください。)

パナソニックPaPIRsという商品名で3シリーズの焦電センサを販売。NaPiOnはそのうちの1シリーズ
村田製作所4品種がアクティブ
富士セラミックモーションセンシング用だけでなく用途の異なる焦電センサ群
日本セラミックモーション用にいろいろなタイプをラインナップ。サーモパイルもあり。
SENBA SENSING TEC.モーションセンサだけでなく炎検出、サーモパイルも
InfraTecガスモニタ用など高精度品

まず、焦電センサは材料がセラミック系ということもあり、セラミックを得意とする会社が主に作っている、ことが分かります。しかし、セラミック屋さんが皆作っているか、というとそうでもないようです。非常に一般的なセンサ、つまりは値段が「こなれて」しまっているということもあるのかもしれません。

表の先頭に挙げたのはパナソニックです。焦電センサで検索すれば、パナソニック製品が次々と見つかります。それもその筈、モーションセンシング向けの焦電センサだけで3系列の商品群をもっています。実は以前、NaPiOnという名のシリーズ名を聞いたことがあり、これが頭に残っていたのですが、このNaPiOn系列はその3系列のうちの一つでしかなく、3系列全てあわせてPaPIRs(しっかりPIRという英文表記がとりこまれています)という名のもとに売られているようです。この3系列の仕様の違いについてはココのリンクからパナソニックのページをご覧ください。待機時消費電力1μA品は、明らかに電池駆動向け、それに対してNaPiOnは、待機時消費電力こそ170μAと多いものの、微動検出とか狭スポットとか高機能な味付けです。モーションセンシング分野で痒い所に手がとどく品ぞろえじゃないでしょうか。

表の2番目は電子部品大手、村田製作所です。主力の受動素子類はセラミックス的なものが多いのでお手の物ではないかと想像します。このリンクをたどってもらうとわかるのですが、焦電型のセンサの機種数はかなりあり、モーション以外の用途のセンサもあるのですが、いわゆる「ラストバイ」がかかっていて、将来的に「ディスコン」が決まっている機種が多いです。「生きている」のは4機種でこちらに絞り込む意図が感じられます。

次に挙げたのは、富士セラミックスです。こちらは通常のモーションセンサ向きに見えるデュアル素子型のセンサもあるのですが、炎検知用、ガス分析用などモーションセンサ以外の用途向けも多数あります。なかで独特だったのが、

超高感度空圧センサ FKS-111

です。昔、熱力学の授業で習った通り、断熱圧縮、断熱膨張では気体の温度が変わります。その温度変化を捉えて圧力変化に換算するというセンサのようです。1Pa(パスカル)という微小な圧力から検出できるセンサが、100kPa圧力変化しても壊れる心配がないということです。なお、気象で使う1hPaは100Pa、地上10cm程度の高さ方向の変化を感じられる精度ということになりますか。ただし、前述のとおり、断熱の状態の閉じた気体(機械の内部など)の圧力変化を測るためのものなので、多分気圧測定には使えないでしょう。

次もセラミクス屋さんで、日本セラミック、ちなみに秋月通商のキットで使われていたセンサの一つがこちらの会社の製品でした。モーションセンシング用途の焦電センサが、7タイプもそろっています。最後にMPU直接接続タイプというのもあるのはちょっと嬉しかったのですが、これはADCにつなげるタイプなので、正確に言えばMPUではなく、MCUと書いてほしかったな~というのがマイコン屋のつぶやきです。なお、ここは焦電センサの親戚筋にあたるサーモパイルもやられています。サーモパイルは、「動き」のような相対的なものを検出するわけではなく、赤外線からまさに温度を測るための素子です。電子レンジなどで内部の食品の温度を測るのに使われている筈です。

次は中国の会社でSENBA SENSINGという会社。ここのセンサも秋月通商のモーションセンサキットに搭載されていました。モーション用の焦電センサだけでなく、炎検知やサーモパイルもラインナップされています。

最後はドイツのInfraTec社(リンクは日本販売元)。どうもここは高精度品指向で、ガスモニターや、各種の測定向けがメインのようです。

なお、人感センサとしては焦電センサとまったく原理の異なるドップラーセンサもあります。ドップラーセンサはこちらへ。

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