AIの片隅で(2) 自動運転テストコース、素早いなセンスタイム

JosephHalfmoon

ローカルニュースでもあまり大きな話題になっていなかったのですが、香港がベースのセンスタイムと言うAIのスタートアップ企業が、茨城県常総市(常総市の中でも石下とよばれる地区です)に自動運転のテストコースをオープンしていました。この素早さ、日本企業では考えられないかもしれません。

まずセンスタイムという会社、香港中文大学のマルチメディア・ラボを起源として2014年に香港で設立されたようです。そこから日本法人であるセンスタイム・ジャパンを京都に開いたのが2016年です。まったくもって素早い展開です。そして、今回、1月10日付のプレスリリースで茨城県常総市に

AI・自動運転パーク

を開設したとあります。実際には先月、2018年12月のうちに新装なったAI・自動運転パークに常総市長を招いて、自社の自動運転技術のお披露目をしたというのですから、素早いとしか言いようがありません。大学発ベンチャーというと日本にも沢山あり、その中のいつくかはAI関連ですが、どこも資金的にはそう潤沢とは言えず(かなり苦しい)会社が多くて、自社でそんな設備をかかえてやれるような会社は日本には無いように思います。ところが、このセンスタイムに関してはかなり資金があるのでしょう。なにせ以下のちょっとバブリーなキャッチフレーズが頭につきます。

評価額最高のAIスタートアップ

評価額45億ドルだそうです。AIスタートアップは数あれど、設立4年ちょっとで5000億円近い評価額というのはちょっと類例を見ないかもしれません。当然、バックに資本のある会社が付いている筈、と思ったら書いてありました。Alibabaです。勿論、資金調達も半端ない額をしているようです。

なんでまた、センスタイムという会社がそれほどもてはやされているのか調べてみます。まずはAI業界でもかなり注目を集めるコンテストじゃないかと思うのですが、

  • ILSVRC 2015で1部門で一位(その部門、Googleを抑えて一位)
  • ILSVRC 2016で3部門で一位

という実績がある会社です。しかし、コンテストもさることながら、以下の実績が多いに物を言っているように思われます。

中国各地にやたら導入されているオブジェクト認識技術を提供している会社

オブジェクト認識技術には人や車の識別もあるようですが、中核は「顔認識」技術のようです。中国の顔認識の凄さは鳴り響いています。これを聞くとそれほど評価額が高い理由も納得がいきます。

さて、そんなセンスタイム社は、自動運転にも狙いをつけていて日本ではホンダと協定があるという報道です。どの程度の協定なのかは分からないです。自動運転のデモコースとしては、常総市はそれほど悪いところではないと思います。

去年はあちこち水害多かったので、既に忘れている人もいるかもしれませんが、常総市は、2015年に鬼怒川が大氾濫した水害の現場です。東北自動車道と常磐自動車道の中間にありますが、最近、圏央道ができたので、どちらの高速道路からもアクセスは非常によくなりました。ホンダといえば東北自動車道ぞいにも工場がありますし、日野自動車も圏央道ぞいの茨城県内に工場を開いたばかりです。東京からすると「常総どこ?」という場所かもしれませんが、自動車屋さんのキーパーソンを呼び込むには東京から車で1時間もあればこられる場所なので良いかもしれません。

しかし、それにしてもそんなに早く自動運転のテストコースが作れたのにはカラクリがあります。常総市が保有していた自動車学校の跡地が、練習コースのまま残されていたからです。その辺の経緯をまとめてみましょう。

  1. 2010年、常総市営自動車学校閉校のニュース流れる、翌3月31日をもって閉校。
  2. 2011年、閉校した筈
  3. 2012年、公有地売却の一般競争入札(金額約2億8000万円; 1平米12400円)入札者なし
  4. その後、市のゴミ捨て場所に使われていたらしい。
  5. 2018年9月10日、常総市「旧自動車学校売却に向けた公募型プロポーザル」を実施
  6. 2018年11月28日、常総市、事業者候補として株式会社センスタイム・ジャパンを選定
  7. 2018年12月26日、常総市長、AI・自動運転パーク視察。デモを見る。

常総市にしたら、持て余していたところに渡りに船、センスタイムにしても日本で自動運転攻める拠点を速攻で作れてこちらもOK~という感じでしょうか。WinWin関係が続くことを祈ります。

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