Literature Watch Returns(9) 「世界のAIマイコン」特集、トラ技2019-11月号

JosephHalfmoon

店頭にならんで直ぐに購入させていただいたのですが、しばらく「寝かせて」しまいましたスミマセン、トラ技2019年11月号であります。特集「世界のAIマイコン」、しかし、その上の青文字を見逃してはいけません、64bit/400MHz RISC-Vです。世界のと言いつつ、その実態はK210(RISC-Vコア)の特集といって良いでしょう(そのくせRISC-Vそのものは前面に出てこない)。愛用のJetson NanoもRaspberry Piなども登場はしますがぶっちゃけ比較相手。しかし、このチップ、物欲をそそります。読めばボードが欲しくなる、そしてお手頃価格!そういえば前回も特集読んでJetson Nanoポチりました。どうしたものでしょ。

特集のイントロは例によってマンガ(と言い切るにはチト「固め」の図解?)に始まります。多分、最初からディープな所に突っ込んでしまうとついてこられる人が少なくなってしまう(結果、本が売れない)ための手法なんだとおもいます。実際、論理的な硬い文章で頭の中の概念を伝えるということは結構難しい(数式を見ただけで、概念が頭の中に構成されるような人がいるのでしょうが、多分少ないと思います。少なくとも私は駄目です。)図とそして登場人物の間の対話でそこの敷居をさげてなにかモヤモヤしている部分が分かった気にしてくれるページというべきでしょうか。その第3話にさりげなくK210が登場してきます。お姉さんの「とりあえず試せるマイコンはないのかい?」という疑問に対する答えとして。ただ、私としては

ROM、RAMを単一チップに搭載しているのがマイコン

という昔風の定義にこだわってきたので「マイコン」と呼ぶにはちょっと抵抗があるのです。SoCなら納得ですが。しかしモジュール内にFlashROMを含めているので、モジュールとしてみたら「マイコン」だろ~というデバイスも結構ある昨今なのでこの使い方もいたしかたあるまいかと。

さてそのK210「特集」ですが、マンガの直後、冒頭にAppendixです。普通、Appendixったら、末尾に置かれるもんじゃないかと思いますが、本文冒頭、意外性があります。想像するに、

知名度が低いK210

で本文に入ってしまうのに抵抗あり、紹介のための前おきを一発入れたようにも見えます。なおここでは、SoC(K210)などと「SoC」と呼んでおり、この呼び方の方がしっくりきます。そして本文へと入っていくのですが、内容はネタバレになるので避け、登場してくるデバイス(ボード、モジュ-ル)名を列挙することにいたします。

  1. Jetson Nano
  2. Google Coral Dev Board
  3. Intel Neural Compute Stick2
  4. Raspberry Pi
  5. SiPEED MAix Go
  6. MAix-I Module
  7. M5StickV
  8. Arduino Nano 33 BLE Sense
  9. Arduino MKRZERO
  10. STM32 F7 Dicsovery
  11. Spark Fun Edge Development Board
  12. SPRESENSE
  13. EPS32
  14. Micro:bit

こうして列挙する分には「世界の」です。勝手な印象を書かせていただくと

  • 「エッジ」側AIで知名度が高いと思われる1から3までは比較対象
  • 4は便利なユーティリティ、サポートボード扱い
  • 主要な対象は5から7、いずれもK210搭載機(RISC-V搭載)
  • 8については1章あり、これはRISC-V機ではない
  • 9以下はちらっと名前が出てくる程度(国内では唯一SONYのSPRESENSEの名が挙がっているが説明ほぼなし)

というわけで、実体はK210特集に読めます。そしてRISC-VはCPUとして名前が随所にあがり、特集名にも 64 bit/400MHz RISC-V とデカデカと入っているのですが、読んでいくとぶっちゃけたことが書いてあるのです、小さく。そこだけ引用させていただきましょう。P.44より。

SiPEED MAix(K210)のCPUはそれほど高速ではないので、CPUを多く使うタスクには向かない

というわけで、でかでかとRISC-V言っている割には、RISC-Vだからどう、という話はないです。それよりもエッジ側でAIやるために必要な情報が満載で役に立つのではないかと思います。また、AIのエッジ処理で、K210というデバイスがとても魅力的だ、ということもよーく理解されます。それを支えているのが、KPUという名のCNNのアクセラレータであることも分かります。そして何より、K210搭載ボード類のお手頃さ、例えばK210搭載で、カメラとセンサ類、LDCに2次電池まで搭載した

M5StickV

のお値段、正直ビックリ(価格はスイッチサイエンスさんなどの商社のページをご参照ください)。おもわずポチっと行きそうになりました。

が今回、私はちょっと待つことにいたしました(他の方のご購入に反対するものではありません。)。特集の後の方にマイクを使った音声系のAI処理のページあるのですが、現行のM5StickVでは内蔵マイクは使用不可と書いてあったからです。実際、スイッチサイエンスさんのページに行くと、M5StickV+という機種になると、内蔵マイク使えるようになると書いてありました。ううむ、出たら買わせていただきます。音声系をやりたいので。

まあ、感心しきりのK210ですが、限界もありそうでした。肝心かなめのKPUは、ハマれば速い、けれども、汎用性は今一つ、という性格のようです。ま、その辺を差っ引いても、物欲をそそるデバイスであることは間違いありません。それにつけても、K210の製造元、Canaan Creative社、調べておかないとなりますまい。

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