特許の失敗学[17] 特許と英語(2) US特許出願の提案

特許の失敗学
 特許の失敗学[2] 自筆明細書 の投稿では、技術者が「特許明細書」を自筆する困難性を書きました。US特許の場合は、少なくとも「英語」という困難性が加わります。日本の特許事務所は、米国の現地代理人を通じてUS特許実務を行います。米国弁理士(Patent Agent/Attorney)の資格を持っていない限り、自分でUS特許の執筆(翻訳)や出願権利化の手続きをするのは無理でしょう。

◆ 外国出願の提案

 米国の特許代理人の費用は、日本国内の特許事務所に比較してとても高額です。『特許の失敗学』のミッション「お金をかけずお手軽に特許収入を目指す」はどうするの?

 外国出願の提案は、後の投稿で詳細を検討します。概要だけ記載すると、

(1) 日本特許出願する
(2) 日本語でPCT国際出願する
(3) 出願した特許を企業に売込み
(4) PCT国際出願の国際調査結果で継続の判断
(5) PCT国際出願を継続し、売込み成功で国際権利化を進める
(6) 日本特許の権利化継続の判断


◆ US特許出願にむけて

 それでは、US特許出願に向けてどんな準備をするのか。

・「がっちゃん動画」で英語の勉強
・US特許明細書を読む
・US特許の審査経過を研究
・US特許の実務の記事を読む

 US特許明細書:できるだけ最近の、気になる特許(日米で登録ある特許)を読んで、日本特許明細書と翻訳されたUS特許を比較します。

 US特許審査経過:日米の特許審査の経過(包袋)を研究します。

 US特許実務:時間があれば、US特許制度の勉強をします。

 日本出願明細書を自筆する(弁理士に相談する下書き)際には、英語のクレームを書いてみるのがお勧めです。(自分でもやってへんことお勧めせんといて!ってか?)
 Arahaは、クレーム案を作成するときに英語に翻訳できそうかを考えながら作成します。あいまいな記載だと、英語に翻訳ができないことに気が付きます。最低限のチェックとして、主語述語が明確(英語基本文型)であることが必要です。


◆ TOEIC

 TOEICは、US特許出願に直接役立ちませんが、勤務する会社の補助があれば受験しましょう。仕事として高得点を目指す理由が無いのであれば、あえて特別な勉強は不用と思います。TOEICについては、否定的な意見も多いです。あなたの英語能力を知ると共に、記憶力、瞬発力、判断力、忍耐力を評価する手段と割り切りましょう。文部科学省が大学受験に採用しようとした理由もそういうことですよね。きっと。

(出典)

▼TOEICの点数は通用しない。海外で働くのに本当に必要な英語力とは?
 進め!中東探検隊 2019-05-232020-05-01
 https://seiwanishida.com/archives/9643
・TOEICの点数で英語力を測るのは無意味
 そもそも、TOEIC満点です!などとぬかしたところで、「なにそれ?」と言われるだけである。あくまで、英語力をTOEICでしか測れない一部の日本企業にだけ通用する手形のようなものである。

▼ネイティブスピーカーでもTOEICで満点が取れない3つの理由
 https://toeic-benkyoho.com/usefulinfo/native-score.html
 TOEICをネイティブスピーカーが受験しても満点を取ることができません。この理由を知ることがTOEIC攻略への鍵にもなるものです。


◆ Afterword

「壁にとまったハエ」は適切な訳か?

 前回の特許の失敗学[16]の投稿を再確認するため、『 fly on the wall を和訳せよ。』でGoogle検索したら、気になる記事をみつけました。

 「上級英語への道」のブログオーナーは、本の書評に違和感を感じて調査しました。「fly on the wall」の記載を、翻訳者が誤訳(イディオムを見逃した)、書評を書いた作家も、書評をチェックした編集者も違和感を感じなかったのか、誤訳に気付かずといった経緯のようです。

 記事では「プロの訳業を云々する資格は素人の私にはない」と謙遜されてます。しかし「a fly-on-the-wall status」とハイフンがある記載を見逃すのはプロの翻訳者として如何なものかと、素人の私も考えてしまいます。

 特許明細書では「誤訳」という抗弁が成功する場合もありますが、「誤訳」の主張が認められない場合もあります。

(出典)

「壁にとまったハエ」は適切な訳か? ~ fly on the wall #2:
 上級英語への道:So-netブログ 2018-04-11
 https://eigo-kobako.blog.ss-blog.jp/2018-04-11

対象の本はトランプ政権の内幕を描いた「炎と怒り」

 この本を作家の宮部みゆき氏が取り上げていたのだが、気になったのは次のくだりである
 - ある人物や組織がどれだけバカであるかを熱心に語る本は悲しい。それと、れっきとしたジャーナリストである著者が、「トランプのホワイトハウス」を取材する自身を「壁にとまったハエ」に喩(たと)えているのも悲しい。
(原著の記載)
– In the beginning, I sought a level of formal access to this White House, something of a fly-on-the-wall status.
(Fire and Fury by Michael Wolf)

ブログオーナー、tempus_fugit さんの自己紹介です。
 学校・仕事・趣味で英語に接し続けていつの間にか40年以上。英検1級と国連英検特A級、TOEIC900点超を取りましたが、上級者への道はまだ遠いです。


 ArahaはTOEIC800点超を取った過去がありますが、上級者への道はさらに遠いです。Google翻訳を知った後は「IMEに頼り漢字が書けない症候群」と似た状況となりました。英文を書く際にはGoogle翻訳をまず試し、必要に応じて修正する。自信が無い英文表現は、英語として正しいかをGoogle検索のヒット数で判断する。こんなでは、仕事の効率が良いわけありません。そういえば、例の最初の上司はノートに英語でメモをとっていました。とても真似できる技ではありません。

 1回目の米国赴任は1986年でした。貧弱な英語力でも、限定的な技術分野の英語では不便を感じませんでした。プロジェクト会議で、「I think …」と発言を始めたら、会議参加者から一斉に注目されたのを感じてビックリしました。それは、会議マナーもありますが、当時の日本の半導体産業の勢いから日本から来た技術者の能力を過大評価したのではと思います。

 日米の半導体シェアの最初の逆転が1986年、2回目が1993年。日米半導体協定(1991年改定で日本市場における外国製半導体のシェアを20%以上を目標とする条項追加)の締結も1986年です。

(出典)

牧本資料室
 https://www.shmj.or.jp/makimoto/index.html
 
第20話 日米半導体の盛衰

半導体ほど技術革新が激しく市場の振れ幅の大きな産業は、ほかに例を見ないのではないだろうか。その激しさゆえに昨日の勝者は今日の敗者となり、、あたかも平家物語の冒頭の一節『驕れる者は久しからず、ただ春の夜の夢の如し――』を連想させるものがある


 https://www.shmj.or.jp/makimoto/pdf/makimoto_01_20.pdf
 https://www.shmj.or.jp/makimoto/en/pdf/makimoto_E_01_20.pdf