お手軽ツールで今更学ぶアナログ(24) 不詳なツエナーと2N3904でレギュレータ

JosephHalfmoon
Joseph Halfmoon

ツエナーダイオード1本で、前々回前回に引き続き3回も引っ張っておりますが、今回で一段落であります。アナデバ社ADALP2000キットの中の「不詳」なツエナーの現物の特性は前回、M1Kで測定して一応明らかになりました。この後の流れからするとディスクリートのトランジスタと組み合わせてレギュレータを作ってみよ、ということなのですが、部品の特性が全然違うのでアナデバ様の見本通りとは行きませぬ。

アナログ不得手の私としては、良く分からない時は現物動かしてみる前に、SPICEに聞いてみるのが良さそうに思いました。そこで、LTSPICEでシミュレーションしようとして、ツエナーダイオードをスケマティックの上に置いたところで気付きました。

降伏電圧3.6Vなんて低い電圧のツエナー、リストに無い!

LTSPICEをお使いの方はご存知でしょうが、回路図画面にはダイオードのボタンがあり、それを押すとダイオードの回路記号があらわれます。そいつの属性を開いて、パーツの選択画面を開くと各種ダイオードのリストがあらわれるので、そこから選んでOK、というのが基本です。当然ツエナーダイオードも多数現れるのですが、3.6Vなどというものは見当たりません。4.8Vが1つだけありましたが、ほとんどはもっと高い電圧のものばかりです。

同じような状況に直面した人は結構いるみたいで、Webを調べたら以下のページが見つかりました。大変参考になりました。

ZENER DIODES IN LTSPICE

結論からいうと、「使えそうなSPICEモデルをどこからかとってきてLTSPICEのスケマティックに貼り付けて」解決しているみたい。そして「どこからか」の出元として大人気なのが、Diodes Inc.社でした。Diodes社へのリンクを貼り付けておきます。

Diodes社のホームページ

米Diodes社は、その名の通りダイオードは勿論、トランジスタやレギュレータなどのデバイスの会社です。そして、これでもかという感じで自社製品のSPICEモデルを公開してくれているのです。

今回、出元「不詳の」ツエナーダイオードは、多分Diodes社の製品じゃなさそうですが、充実のDiodes社ラインナップの中には似たようなダイオードがきっとあるんじゃないか、と調べてみました(そのうちDiodes社製品も購入いたしとうございます。)それっぽいデバイスのSPICEモデル(サブサーキット)を端からDC解析してみるというかなり泥縄な方法です。出力されたグラフが前回測定の実機特性と「似ている」ものを選ぼうなどという魂胆。

ダイオードの記号の裏でサブサーキットを呼ぶために、LTSPICEの部品エディタでツエナーのシンボルを定義しているファイルを開き、中のプリフィックスをDからXに変更しました(上記のZENER DIODES IN LTSPICEに説明があります)。私の場合、その上でZenerXなどという勝手な名前に変更してセーブしました。すると、コンポーネント・ボタンでZenerのとなりにZenerXが現れるので便利かと。このZenerXコンポーネントの名前を参照するサブサーキットの名前と一致させておけばシミュレーションができまする。

BZT52C3V6LP DC characteristicsさっそくBZT52C3V6LPというダイオードのDC解析してみたものが、こちら。同じ「3V6」なので、5mAのときに3.6Vという1点は一致しているのでありますが、前回測定のグラフとは全然違うなあ。実機だと4.4Vくらいで70mAくらいまで立ち上がっているし。それにこんなに直線状ではなく、もっと「膝が曲がって」いた。BZT52C3V6LP DC graph

あれこれ、試したものの、電流小さめのツエナーの中には適当なものがなく、「レクティファイヤ用」なる1N4729Aというデバイスを選択しました。これだと特性急峻。実機より急峻すぎる感じですが、どうせ使うのは電流が小さいところ。結局、ツエナー、降伏電圧同じといっても、いろいろあるんだ、ということを実感いたしました。一応、学んだです。1N4729A DC graph

さて、ようやく、ツエナーダイオードが決まったので、ダイオードでベース電圧を決めてやる「レギュレータ」のシミュレーションができます。とりあえずアナデバ様の資料みながら作った回路がこちら。

Zener + 2N3904ディスクリートのNPNトランジスタ、2N3904のエミッタから出力電圧が取り出せる形です。レギュレータの本体?である2N3904は、エミッタフォロアなので、ベース電圧よりVBE分低い電圧が出力されると。ツエナーで決めている電圧よりはVBE分ドロップするので、1N914でVBEと同じ程度ベース電圧をもちあげるのじゃ、とアナデバ様の資料にあります。

シミュレーションしたものがこちら。緑色が、入力電圧を振ったときの出力電圧のグラフ。青色は、ダイオードに流れている電流。

Zener_Reg_Charさて、これで動作の理解もできた(本当か?)ので、実機を動かしてみることにいたしました。ADADP2000の箱から、2N3904を取り出します。しかし、およよ。

最上部のアイキャッチ画像を御覧ください。

箱表面のお品書きをみると、2N3904(NPN)および、2N3906(PNP)は3個づつ、となっています。しかし、右側の現物、上が2N3904、下が2N3906ですが、

5個づつ

入ってました。良く分からないけれど、数が多いのでちょっとラッキーな感じ。まさか返せとは言いませんよね。前々回は仕様の違うダイオードが入っていてちょっと困りましたが、同じものが多めにある分には問題ない。

さて簡単な回路なので、BBの片隅に並べて、AnalogDevices社のお手軽学習ツールADALM1000(M1K)を接続します。CH.Aを入力電圧、CH.Bを出力電圧として後はGND。簡単。

Zener_Reg_BB接続したら、SPICEのDC解析と同様なグラフが得られるように、CH.Aに0から5Vまで印加し、出力をCH.Bで観察します。するとこんな感じ。

Zener_Reg_XY

見たところ、SPICEシミュレーションの結果と同じに見えます。あんな、いい加減な「モデル」だったのに。まあ結果オーライね。

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