お手軽ツールで今更学ぶアナログ(29) OpAmp大全とAnalogDialogue

Joseph Halfmoon

前回、スピーカアンプの特性を測定しようとして、知識不足を痛感いたしました。勉強のため「オペアンプ大全」読もうなどと書いてしまい(?)、実際、読み始めたのであります。読めば宝庫です。また、積読状態の関連書籍(ダウンロード済)も多数。今回はそれら資料を眺めながら勉強の方針を立てました。死ぬまでに読み終わりたい。

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米国式に略せば “ADI”、日本式に略せば「アナデバ」と呼ばれる米Analog Devices社は、「アナログ業界」を背負う一方の旗頭的存在であります(以降日本式で呼ばせていただきます。なお、ヨイショしていても私は同社とは何の関わりもありません。)アナデバ社はデバイスを販売されるだけでなく、普及活動というか啓蒙活動というかにも熱心で、多数の技術資料を公開、ダウンロード可能な状態にされています。最近同社の広告で良く見るのは、

リニア回路設計ハンドブック

というものであります。1箇所引用させていただきます。

英語版の電子書籍版が約11,000円で販売されています。アナログ・デバイセズでは、このリニア回路設計ハンドブックの日本語版PDFを無償で(登録フォームあり)ダウンロード提供しています。

太っ腹です(ヨイショ。)英語版があっても日本語版が無い、あるいは日本語版があっても英語版よりずっと高い訳書が多い中で、翻訳版が無料(PDFファイルで13ファイル、合計32MBの書物)というのは素晴らしい。内容はオペアンプに始まり、開発ツールに至り、「アナログ」網羅している感じです。私もダウンロードさせていただきましたが、まだ読んでません。すみません。本稿後、「計画的」に読み進めさせていただく所存であります。それにしてもこの厚遇、もしかするとアナデバ社は日本市場において「アナログ回路設計者」が絶滅危惧種になることを恐れているのではないかとも勘ぐってしまいます。下衆の勘繰り、2カ月で回路設計者を止めて、0/1の世界に逃げた者の言う事ではありませんが。

しかし、この太っ腹はリニア回路設計ハンドブックに始まったものではなく、他にも複数この手の書籍が公開されているのです。その中で、リニア回路設計ハンドブックの前に読み始めましたのは、

OPアンプ大全

であります。ここからも1箇所引用させていただきます。

OPアンプ回路の全てをわかりやすく解説
CQ出版社より12,600円で書籍も販売中

「大丈夫かCQ出版」などと一瞬思いましたが、話はできているものと思います。これまたダウンロード(相当前に)し、今ようやく読み始めたのであります。なぜかといって本書は、オペアンプの歴史、それもほぼ100年前の20世紀初頭から説き起こす、技術書とは言え、大河ドラマ並みの構成になっておるからであります。全11ファイル29Mバイト。一箇所引用させていただくと、

歴史の始まり部分を理解すると、現在の素子に対する正当な評価を下すことができ

だそうです。ま、それ以上に「オペアンプの歴史」読んでいて面白いです。現在に至るオペアンプの「基本形(真空管)」が第二次大戦時の火器管制システム(命中率90%)で現れたなど。日本はこれに負けた(一因ですが)、といっていいかも知れません(本当か?)

OPアンプ大全の中に面白い記述を見つけました。”Analog Dialogue“誌といえば、アナデバ社の広報誌?みたいなものだと思っていたのです。その創刊は1967年!で、半導体化されたオペアンプの普及に「おおいに」貢献したのだそうです。そして、その当時のサブタイトルが、

OPアンプ技術の交換のための雑誌

だったのだそうです。現在はOPアンプに限らず「アナログ技術の交換のための」になっているようです。そういう経験あったればこそ、アナログ技術の普及のための啓蒙に今だに熱心、なのでしょう。

さて”Analog Dialogue”誌は、カッコイイ編集で、面白いのですが、「ディープな」話題も多くて「ついていけないナ」と思うこともしばしばです。その「ディープな」ところがアナログ関係者を掴んでいるのだと想像します(分けわからないけれどエキサイティング!)でも”Analog Dialogue”誌は、ディープでないところにも目を配っているのでした。電子工学学んでいる学生さんか、新入社員向けと思われる一連の記事です。CQ出版さんが4月になるとやる「フレッシュマン」特集みたいな感じ。

Analog Dialogue StudentZone

というシリーズです。本「お手軽ツールで今更学ぶアナログ」シリーズも、アナデバ社のADALM1000, ADALP2000キットを利用する場合があり、またADALM2000と「端子配列互換の」Digilent Analog Discovery2も併用しているので、度々 StudentZoneの資料にはお世話になっています(参照回にリンク貼ってあります。)

今回、ちゃんと勉強すべし、ということで StudentZoneの記事を初回から最新号まで調べてみました(ちゃんと読んでいません、ちゃんと読んで、実習するのはこれからです。)勝手な意見ですが、StudentZoneは3つの時期に分割できる感じです。

  • 第1期: 2016年10月 ~ 2017年11月
  • 第2期: 2017年12月 ~ 2019年5月
  • 第3期: 2019年6月 ~ 現在

第1期は、「回路初心者向けの読み物記事」的な時代です。それでも記事の末尾に宿題などあり、毎回ちゃんと宿題をやったらきっと立派な人になれる感じです。私は個人的には、2017年3月から3回に渡って掲載された Walt Kester氏の「基本を学び、将来の苦悩に備える」シリーズがお気に入りです。

それに対して第2期はまさにADALM1000(M1Kと略称されている)を使った実習のシリーズです。M1KはSMU(source measure unit)が特徴なので、これを活かした実習群、アナログ回路のベーシックなところ、電子回路実験的な。私のような基礎ができていないものにとっては大変勉強になります。

そして第3期は、ADALM2000をつかった実習のシリーズです。残念ながらADALM2000は所持していないのですが、Analog Discovery2でほぼ同等なことが行えるので、それを使えば実習可能かと思います。ただ、制御ソフトの操作手順などは異なるので読み替えていかないとならないですが。

ここに挙げさせていただいた文献全て、死ぬまでには読み終えたい。とりあえずちゃんと理解できなくてもOpアンプ大全読んで、それから、リニア回路設計ハンドブックにかかる。それと並行でStudentZoneの実習をなるべく最初の方から順番にやってみる。進捗あれば、本シリーズで報告っと。

長い道のりだな。

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