前回はRC回路でした。今回はRL回路です。正直テンションはさらに低め。しかしアナデバ社(ADI社)のWeb記事「StudentZoneを初回からすべて」読むと誓いを立てた以上避けて通ることはできません。でもテンション低いと「ポカ」が多いんだ。計算間違えるんじゃねえ!自分。
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RC回路もRL回路も回路は違えど、観察する波形は「似たようなもん」でテンション低めな今回です。しかし、唯一スパイス的なご期待は、以下の米国の会社の製造によるコイル(インダクタ)です。
アナデバ様のアナログ部品キットADALP2000所蔵のコイル群(アイキャッチ画像に掲げました)は、上記の会社の製品のようです。この会社はコイル巻きのプロ、インダクタのスペシャリストみたいです。上のURLからたどっていくと、「インダクタンス」に特化した教育向けのコンテンツも公開されています。インダクタとは何ぞやから、高度なトピックまで。「巻いている」インダクタンス・ファン?には見逃せないサイトであります。
さて今回読ませていただくのはアナデバ社の以下のWeb記事であります。2018年5月号。いつになったら「現在」に追いつけるのか覚束ないです。まあ、アナデバ社は月イチで連載なので、こちらが週一で追いかけたら後1年くらいで追いつく筈、とそんな目論見。でもたまにサボるし。
「ADALM1000」で、SMUの基本を学ぶトピック5:RL回路の過渡応答
上記記事には例によって書いてあるのです。一文引用させていただきます。
それでは、実験をはじめましょう。
RL回路を構成するにあたって、220Ωの抵抗と20mHのインダクタを用意せよ(10mHを2個直列にすれば20mH。ADALP2000キットには残念ながら20mHは入っていないためでしょう)とあります。いそいそとADALP2000の箱から Coilcraft製のインダクタ2個を取り出しました。アイキャッチ画像にCoilcraft製デバイスを並べたものを掲げましたが、
103
と番号が振られているのが10mHです。これを2個直列にして20mHっと。最初に、
抵抗とインダクタ2個の直列抵抗を測れ
とあります。インダクタはインダクタンス成分だけでなく抵抗成分も「結構」あるのでその分を測っておけという思し召しでしょう。測りました。実際50Ωくらいも抵抗成分あるやに見受けられます。デカイ、本当か。まあ、そのつもりで計算に進みます。コイルに入力する方形波の周波数を決定するために、時定数タウなどを測定する必要があるのです。ここで大きなミスをいたしました。表計算ソフトで計算するときに
抵抗:273Ω(実測値)
インダクタンス:22mH(<=ほんとは公称20mH)
などとしてしまいました。抵抗単体での220Ωが頭にあって、つい22と数字を打ってしまったようです。以下、すべてこの値基準でタウやら周波数やらを算出し、回路を動かし、画面キャプチャをしてしまった、最後の最後でこの誤りに気づきました。表計算ソフトは値を変更すればその場で全部変わりますが、測定はそうもいきません。もう一度やり直すか?テンション低めの自分、その気力がありませんでした。
20に対して22だから1割くらい大きめの数字で計算しているだけだよね、それにインダクタンスの精度は10%、もしかしたら20%?ちょっと大きめでも雰囲気でてるはずだから良いんじゃね。。。
すみません。計算間違えるなの自分。というわけで周波数設定値などは本来設定する値よりはちょっと大きめです。まあ、遠くから眺める分には分かりませんが。
さて以下、一部に内容ネタバレなどありますので、自力で問題解答をやろうとされている方はご注意ください。まず、課題への回答のリンクです。
実際、実験に使った現物回路は以下のようです。例によって2.5Vを基準電位として上下に2V振幅で方形波入力を印加する方式です。そのくせ測定は0V基準の値です。CH.A(黄色)がSVMIモードで入力波形の印加、CH.B(青色)はHiZモードで出力波形の測定用です。
まず、RL回路の時定数の5倍のパルス幅を持つ入力信号を与えよ(当然電圧はほぼ100%の筈)、ということで測定した波形が以下です。緑が入力信号(0.5Vから4.5Vの方形波、2.5V基準で2V振幅)、オレンジが出力信号の電圧、水色がコイルに流れる電流波形です。
先ほど述べたとおり、根本のところで計算をミスっているので、パルス幅は設定すべき値より10%くらい広いです。まあ広い分には問題ないか。
前回のRC回路の過渡応答の観察時と、ぱっと見異なるのは、出力信号の電圧波形(オレンジ)の振幅が緑の入力信号よりもかなり狭いところです。オレンジは220Ωの抵抗にかかる電圧です。しかし、コイルの抵抗成分とブレッドボードのなどの接続点等の抵抗が合計50Ω以上も載っている分、分圧されて見えるためだと思われます。
時定数を測れ、ということで波形を拡大して63%点までにかかる時間を求めているところが以下です。先ほどの設定エラーのまま、計算で求めた時定数は10%以上大きな0.81mSという値でした。この測定値(約0.67mS)から比べるとかなり過大でちと困ったのです。L値のエラーを修正して再計算してみると計算値は0.73mSと差は知事まりました。それでも10%くらいまだ大きいか。
こちらはパルス幅をタウの25倍にとった場合のもの。時定数の25倍x計算間違い分10%マシなので、出力波形の上下は平らかに見えます。この波形が、記事の中に掲載されている波形に一番近い「整った」感じかも。
最後はパルス幅をタウの0.5倍(勿論10%マシ)にした場合。定常状態に安定した付近で取得。ここまでくると振幅は当然小さくなります。
計算値の元になるLの値を誤記入したために、しまらない実験になってしまいました。本当なら、やり直しの再実験だな。でもま、テンション低め、やり直しを強制する人もいないので、まあいいか。すみません。表計算ソフトの計算くらい、間違えずにやれよ、自分。