お手軽ツールで今更学ぶアナログ(94) NPNトランジスタのシンプル差動アンプその3

Joseph Halfmoon

冒頭アイキャッチ画像に、手こずって汚い半田付けのチップ写真を掲げてしまいました。東芝HN1C01FU、「ウルトラスーパーミニ」パッケージ品であります。半田付け苦手で老眼の年寄りには過ぎたる一品。NPN型トランジスタ2素子(ほぼほぼ2SC1815に近い特性らしいです)をワンチップにしたもの。

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デュアルNPNトランジスタ

ワンチップに複数個のトランジスタ素子を搭載した製品を使うのは特性のバラツキを抑えるためであります。アナデバ様の記事ではアナデバ製SSM2212を使え、とのご指示なのですが、すいません、秋月電子通商殿にいろいろ注文入れた「ついで」に東芝製買ってしまいました。まあOPAMPはアナデバ製も買いましたのでご勘弁。製品ページは以下です。

HN1C01FU

秋月電子通商殿のページによると定番(そしてオリジナルの東芝製はディスコンの)2SC1815に特性が近いらしいです。ただね、最近のチップは表面実装でチッコイものが多いです。このチップも例外ではありません。データシートの冒頭に曰く

ウルトラスーパーミニ(6端子)パッケージ

です。JEDECやJEITAの型番はなく、東芝独自型番 2-2J1Aです。半田付け苦手で老眼の上に、手先が震える年寄りはかなり苦労してブレッドボードに刺せるようにいたしました。大丈夫か、ちゃんと半田付けできているのか?一応、差動アンプ構成で動作している確認はしたのですが、かなり不安な一品。

コモンモードゲインを測れと

前回前々回とBJTの差動アンプを勉強してきましたが、アナデバ様の学習記事には最後にもう一つ課題があったのです。コモンモード・ゲインの測定です。差動アンプの差動入力に同じ入力信号を与えたときの出力信号のゲインです。このままアナデバ様の記事「学んで」いるとオペアンプが出来ちゃいそうな気がしているこのごろなので、そのうちCMRR測れ、とか言われる布石じゃないかと思います。今回はあくまでゲインです。

まずはLTspiceの回路が以下に。

CGcircuit

ただし、上記Q1・Q2の2N3904には、素のシミュレーションなので特性のバラツキはありません。まったく同じ特性のトランジスタに同じ入力を与えるので、シミュレーション上(理想的)は差動出力は0の筈。青が入力、黄緑が出力です。

CGtim

これに対して、前回実機で差動アンプの測定をやったときに、現物(特にバラツキを合わせるような選別していない)2N3904でコモンモードゲインも測ってありました。

黄色C1が入力、青色C2が出力です。黄色は縦軸1V/Divですが、青色は縦軸100mV/Divです。なお、アナデバ様ご指定のプロービングの+/ーと下記で実際に測定している青の差動出力のプロービングは逆転してます。私の不注意であります。アナデバ様ご指定通りであれば青は黄色の逆相。多分。

下の測定のPeak2Peakの比から -36.5dBと。まあ単体トランジスタ2個の組み合わせ、結構デカイ値ですな。

CG2V

さてお楽しみのデュアルBJTに差し替えてみた実験回路が以下に。

CommonModeGainDUT

このときの測定値が以下に。-60.7dBとな。

dual2V

本当にデュアルトランジスタで特性が揃っているからなんだよね。後で半田付けの失敗のせいでしたとか言うなよ、自分。

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