お手軽ツールで今更学ぶアナログ(99)ペアBJT+Opampで三角波を正弦波に変換する回路

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回は2021年9月号です。メインは三角波を正弦波に変換する回路です。今回「も」ペアトランジスタが活躍。後半登場の三角波を作る回路は次回に先送り。例によってLTspiceかけて回路の動作を予習してから実デバイスで実験っと。

※「お手軽ツールで今更学ぶアナログ」投稿順 indexはこちら

アナデバ様のWeb記事(日本語版)へのリンクが以下に。

ADALM2000による実習:三角波を正弦波に変換する回路

いつものオコトワリですが、アナデバ製ADALM2000で実習せよ、との思し召しにもかかわらずAnalog Discovery2でやっております。すみません。

また例によって巻末問題への解答編(英語)もあり、そちらのリンクは以下です。

September 2021 StudentZone Quiz Solution

実際に回路を動かしてみると生成した正弦波の上半分と下半分の「調整」必要でした。そのときに上記解答編を読むと腑に落ちます(カンニングだな。)

三角波を正弦波に変換する回路、オリジナル版

アナデバ様の記事にも書いてありますが「近似」変換です。テーラー展開使った「近似」の説明が記事中にあります。知らんけど。数学苦手だし。

さて以下にオリジナル版の回路図をLTspiceでエントリしたものを掲げました。肝心のペアトランジスタは、アナデバ製SSM2212ご指定であります。製品サイト(SPICEモデルへのリンクあり)が以下に。

SSM2212

ただし、上記サイトからダウンロードできるSPICEモデルはデュアルトランジスタを1個のサブサーキットにしたスタイルです。以下のような単体BJTトランジスタの回路図のE,B,C端子にそのままではフィットしませぬ。勝手にトランジスタ1個分に「切り出した」サブサーキットにして以下モデルでは使っています。すみません。なお、R6とR7と.param文で1個の可変抵抗をモデル化してます。

ORG_CIRCUIT

上記の回路をシミュレーションしたものが以下です。黄緑が入力の三角波、青が出力の近似正弦波です。

ORG_SIM

三角波を正弦波に変換する回路、パーツ変更版

上記回路の問題は、手元にSSM2212が無いという1点です。実験用にアナデバ製ADALP2000 パーツキットを購入してあるのですが、SSM2212は入ってなかったです。

代替のデュアルBJTとして、東芝製HN1C01FUが在庫してあるのですがメンドイです。とりあえずADALP2000所蔵のディスクリート・トランジスタ 2N3904 で実験することにいたしました。なんといっても LTspice が2N3904のSPICEパラメータを内蔵しているのでお楽。

手元にあるデバイスで書き直した回路図が以下に(トランジスタだけでなく、こっそり390Ωの抵抗を330Ωで取り換えてしまいました。1本で済むし。)

REAL_CIRCUIT

シミュレーション結果が以下に。まあ、トランジスタ・ペアのマッチングは実験してみないと分からんけど、回路的には「いけるんじゃね」というお気楽。REAL_SIM

実機実験結果

「パーツ変更版」の回路をブレッドボード上に実装したものが以下に。

DUT_2021SEP

上記実験回路の時間波形を観察したものが以下に。黄色C1が入力三角波、青色C2が出力正弦波です。左下の方にある可変抵抗を回して調整した結果です。中央付近だと左右のトランジスタ特性の違いが上下のイビツさにもろ影響している感じがします。でも調整(VRを振り切った)すると、いい感じでないかい。ホントか?

TIME00

入力の三角波をFFTかけてみたものが以下に。三角波なので高調波は奇数のみに見えまする。知らんけど。

FFT_IN

出力「近似正弦波」をFFTかけてみたものが以下に。本物の正弦波であれば1kHzだけの筈ですが、こちらは偶数次も含まった高調波がみえてますな。まあ、2次でも-30dBより小さいから。。。

FFT00

ペア・トランジスタの特性が揃っていたら、もっと綺麗に上下の波形を調整できるような気がしないでもないです。でもま、正弦波っぽい信号でてきたから目的は果たした?いい加減な。

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(98) トランスインピーダンスアンプの入力段その2 へ戻る

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(100) AD654とAD8226で構成する三角波生成回路 へ進む