別シリーズ記事でLTspiceシミュレーションしていて、確か部品の消費電力を求める方法があったよな、と思い至りました。それもある期間の平均電力を計算できたはず。以前に調べた気がしたのだけれど忘却力の彼方に滅してます。そこで今回は「平均の消費電力」の求め方を復習してみることにいたしました。
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発端の別シリーズ記事は以下です。アナデバ様の記事をなぞって学ぶもの。
お手軽ツールで今更学ぶアナログ(128) MOSFETとOPAMPでアクティブ整流器
上記で学ばせていただいております回路が以下です。AD8541オペアンプでPch MOSFET ZVP2110Aのゲートを制御して整流を行う回路です。
いつもLTspiceにはお世話になっていますが、電圧とせいぜい電流を眺めて終わってます。通り一遍ってやつかい。電圧と電流を測定する方法は知っている(カーソルもっていってクリックするだけですが)のですが、消費電力の測定の仕方ってどうしたらよかったんだっけ。まあ、消費電力の時間波形であれば電圧と電流から計算式で求まるからグラフに描けないこともないけれど、ノード名指定してなんちゃら式を入力するのは面倒。ましてや平均電力となると積分しないとならない?どうするの。
忘れている子のための確認
シミュレーション起動後、回路図上のデバイスやデバイスの端子上にカーソルを持っていくことで、以下のように「電流プローブ」が現れます。以下は上記回路の入力に挿入されたRS(シャント抵抗)10Ωにカーソルを合わせたところ。
クリックして得られる波形が以下に。起動後「ガツンと」電流流れてますが、だんだん落ち着いて定常状態に近づいてます。
つづいて、RSの両端の電位差を測ってみます。通常であれば赤の「電圧プローブ」でノードをクリックすれば、対GND電位で測定できます。電位差を得るためには、赤の電圧プローブの状態から「ドラッグ」して基準電位となるノードまでもって行き、黒の電圧プローブが現れたことを確認してから離せばよい、と。こんな感じ。
上記2つの波形が得られれば掛け算すればRSが消費する電力の時間波形が得られます。しかし、LTspiceはそんなまどろっこしいことをせずとも
ALTキーを押しながらカーソルをデバイス上にあわせ左クリック
という技?で「温度計カーソル」があらわれ「消費電力」のグラフを描いてくれるのであります。
クリックするとこんな感じ。電位差V(N001,Vin)かける電流 I(RS)ですな。
平均電力求めるならば、定常状態の方がよいな
上のグラフをみるとわかる通り、立ち上がり直後の過渡状態で「変化している」最中なので、この区間で平均電力求めてもせん無い気がします。そこで、もすこし後ろの方、「定常状態」になっているんでないかい、というあたりのシミュレーション結果をみることにしました。
以下の.tran コマンドを御覧じろ。シミュレーション後0.2秒分の結果を捨て、0.2秒後から0.3秒後まで100ms期間のデータを取り出してます。0.2秒も待てば、というのはエイヤーだな。大丈夫か。
実際、シャント抵抗RSが消費する電力の時間波形は以下のようでした。ほぼほぼ定常状態と勝手に認定?
平均電力を求める「技」
技というほどの技じゃありません。波形ウインドウの上部に表示される電力の式のところにカーソルを持っていき、
CTRLキー押しながら左クリック
すると以下のようなポップアップウインドウが登場。平均電力求まっているじゃん。
電力波形が求まるところであれば、この「技」は適用可能みたいです。知らんけど。以下は、MOSFET ZVP2110Aの電力波形の上に、平均電力の計算結果を出力してみたもの。
さらに以下は、負荷抵抗RLの電力波形の上に、平均電力の計算結果を出力してみたもの。
なんだ簡単じゃん。忘れていたのが悪い。