今回はVCO(ボルテージ・コントロール・オシレータ)に挑戦してみたいと思います。といってなんちゃってバージョンだけれども。このところ愛用の「万能のCMOSデバイス」CD4007でシュミット・インバータを作って発振させてます。そのフィードバックにバラクタをかませ、外部電圧源で周波数制御してみます。
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バラクタ(バリキャップ)
バラクタ、バリキャップなどと呼ばれる可変容量ダイオードは、ダイオードの1種です。原理はあちこちに書かれていると思うのでアナログ素人は踏み込みませぬ。逆方向電圧に応じてアノード、カソード間のキャパシタンス値が割とリニアに変化するもの。あまり大きな容量値にはなりませぬが、発振周波数の調整等には便利なデバイスであります。
今回使用のデバイスは、例によって秋月電子通商 殿の以下のものです。
上記のページから1文引用させていただきます。
貴重なガラスモールド・アキシャルリード型の可変容量(バリキャップ)ダイオードです。
貴重なのねアキシャルリード。当方ブレッドボードで実験しているのでアキシャルリード品を愛用してます。表面実装部品だと小ボードにハンダづけして足を出さないとならないのでメンドイっす。お楽が一番、アキシャルリード。
逆方向電圧によって変化する端子間容量は、2.35~14.11pFだそうです。
CD4007で「シュミット」インバータを作って発振
一方発振回路は、簡単です。シュミット・トリガ型のインバータの出力を入力に大き目の抵抗を介してフィードバックし、ついでに容量もつけたもの。単純な回路ですが勝手に発振いたします。
通常は74HC14など「出来合い」のシュミットでやるものみたいデス。手元の常備菜にも74HC14くらいあったかな?しかし、最近愛用しているCD4007を使えばシュミット・トリガのインバータも作れます、というか、最近実験してみたばかりです。結構立派な波形(多分4000シリーズなので高速な動作は望めないケド。)CD4007で作るシュミットの件は以下に。
お手軽ツールで今更学ぶアナログ(135) CD4007で作るシュミット・トリガ
上記ページで実機だけでなく、LTspiceシミュレーションもしているので、そのときの回路をもってきてフィードバックをかけて発振回路にしてみました。こんな感じ。なお、U1の4007の箱に燦然とLTロゴマークがついていますが、これはLTspiceに用意されているマクロモデル用の空の14ピンデバイス・シンボル使わせていただいておるためです。
シミュレーション結果が以下に。発振しておりますな。あたりまえか。
同じ回路を実機でも組んでみましたが、発振周波数は大外れでした。まあCD4007のモデル自体素性が怪しいし、一方、実機回路もブレッドボードでそれほど立派なものでもないし、と投げやり。そういうことでは立派な人にはなれんぞ、自分。
バラクタ1SV136A接続
さてとりあえず控えめに1SV136Aでフィードバックループのキャパシタンスを置き換えてみました。こんな感じ。
いつものことですが、1SV136AバラクタのSPICEモデルがあるわけでないので、上記の回路は絵に描いた餅です。シミュレーション不可。
さっさとブレッドボード上に実装したものが以下に。発振条件とかの検討もせず行き当たりばたり。ダイオード差し込むだけなら1秒でできるもんね。
Vin=0Vでは発振しなかったので、発振条件を探るべくVinに三角波(オフセット2.5V、振幅2.5V、100Hz)を与えてみました(C2青色。)そのときのVoutが黄色のC1です。Vinがある電圧を超えると発振していることが見て取れます。
発振開始部分を拡大したものが以下に。Vin=2.73V付近で発振開始するようです。いやあ、成り行きの現物あわせよな。
Vin電圧をDCにして、電圧と発振周波数を3点ほど測定してみました。まずは3Vのとき、20.9kHzとな。
電圧が高くなるとバラクタの容量変化の勾配が直線から外れて、ねてくる傾向みたいです。3V~4Vくらいは割とリニアなのかな~知らんけど。
成り行きだけれどVCO(もどき)は動いておると。ホントか?