前回はスイッチトキャパシタ電圧コンバータLT1054で正電源から負電源を作ってみました。今回は同じデバイスを使って正電源の電圧を「ほぼ倍」にしようという正から正への変換です。正電圧ダブラ回路っす。前回は下に向かって押し下げていたポンプの下を支えて上を目指せば電圧が倍になるっと。ホントか。
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データシートを眺めてみれば
以下の製品ページからダウンロードできるデータシートを眺めてみれば、前回の正から負への変換以外にもいろいろな回路が記載されとります。
LT1054 レギュレータ付きスイッチトキャパシタ電圧コンバータ
中でも回路が簡単なのは、正から正へのダブラ回路です。チャージポンプが働く先の電圧を前回とは逆方向の「上」に向けてやれば(下をGNDで支える感じ)高い電圧が取り出せます。逆流しないように整流用のダイオードを挿入。
データシートの回路例通りの部品が手元在庫にないので、テキトーに変えてあります。回路例では1N4001(ピーク耐圧50V)を使ってましたが、同様な特性でピーク耐圧1000Vの1N4007なら文句はあるまい、など(最初から文句などないけれど。)
上記回路をLTspiceでトランジェント解析したものが以下に。+9Vを黄緑のVinに印加すると約16Vの正電圧がVout(赤)に現れます。
前回みたとおりで、ここには現れていないチャージポンプが黄緑と赤の線の間をペコペコ往復して健気に?に持ち上げてます。
実験回路
ブレッドボード上にこしらえた現物が以下に。右の電源コネクタには006Pの+9V電池が接続されとります。データシートにはコンデンサはタンタル使えと書いてありましたが、前回につづき手持ちがないので普通の電解で済ませてしまっております。ゆるしてね。
さて、肝心の出力電圧がこちら。シミュレーション値の16Vを上回ってきましたな。
ほぼほぼ予定通りに、定番回路を嗜めましたかな。みんなデバイスのお力じゃ。