前回は電子デバイス業界のクラシック?コルピッツ発振回路で滑らかな正弦波を得ました。今回も正弦波です。これまた業界のクラシック?ウイーン・ブリッジ発振回路とな。「なんたらブリッジ」大昔盛んにやった記憶があるのですが、どれもこれも気難しい回路だったような?クラシックの大先生だから致し方ない?どうするんだ?
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ひし形に描かれることが多いブリッジ回路です。ホーイトストン・ブリッジなどを筆頭?にお名前のついた回路が多数。どれも業界の定番、あるいはクラシックではないかと。
ウィーン・ブリッジ発振回路
Max Wien先生がこの回路を発明(発見?)されたのはなんと19世紀末なのだそうです。アナログ素人が語ってもいたしかたないので、CQ出版様の解説記事へのリンクを以下に貼り付けておきます。
因みに発振条件は後で出てくる回路の場合 R4/R3=2 のときで、そのときの周波数はR=R1=R2、C=C1=C2で、f=1/2πCRです。今回の回路では
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- C=0.01uF
- R=10kΩ
なので f≒1592Hz と求まります。
LTspice シミュレーション
何はなくてもまずはLTspiceシミュレーションです。今回も定番のオペアンプOP07を使用であります。
「ひし形」に回路が描けなかったので四角でお茶を濁しました。こんなことなら普通に非反転増幅回路として描いた方が分かりやすかった?
発振の「キモ」となるのが抵抗R3の値です。そこを.stepで4種類シミュレーションしてみました。結果はこんな感じ。
黄緑色の波形がR3=10kΩの時です。アッという間に振幅が増大し、OP07の限界に達して頭ウチとなります。当然そのときの波形は正弦波というには歪んでます。安定発振条件のR3=11kΩの場合、確かに安定しているのですが、上記のシミュレーションでは振幅ちっさ。ちょいと振幅を大きくしようとすると、多かれ少なかれ、振幅が増大していってサチルことになります。気難しい回路やな。
そういうこともあって先ほどのCQ出版様の記事の後の方では、ゲインを自動調整するためのAGC付きの回路が紹介されてました。でも、なるべくそこまではやりたくないな~。回路作るのメンドイです。
正弦波として歪が目立たない程度にゲインは大き目、微妙なあたりに調整したいです。手抜きだな、自分。
実機で実験
以下に、ブレッドボード上に組み立てた実機回路を示します。キモのR3のところは「微妙な調整をできるように」10kΩ+330Ω+1kΩのボリュームという構成にしてみました。ボリュームは多回転型で1kΩ範囲を10回転くらいで調整できるタイプっす。これにより10.33kΩから11.33kΩ(額面)くらいの範囲を調整可能と。
電源投入直後の波形が以下に。抵抗値が低すぎるようで、OP07の出力レンジを振り切って頭の方が平らになってます。正弦波じゃないです。
ギリギリ正弦波に見えそうなあたりまで抵抗を上げました。こんな感じ。
このあたりを「調整」していると動画にしたいくらい面白いです。ボリュームのねじを何もいじっていないのに、勝手に振幅が脈動したりして「せめぎ合っている」のが分かります。まあ、不安定。ちょっと条件変わったら発振が止まったり、アカラサマな歪がでるかもです。
一応上記の波形(正弦波感半端ない?ホントか?)はお茶飲んで帰ってくるまで安定してました。でもね、安定のための何か手段を講じないとおちおちお茶も飲めない回路っす?