第90回で使ったAD2のインピーダンスアナライザ機能で今回はコンデンサの周波数特性を測定します。ありがち?手元在庫をヒックリ返したらコンデンサいろいろ出てきました。今回は、容量0.01μF編ということで、積層セラミック、ポリエステル・フィルム、ポリスチレン・フィルムの3つを比べてみました。ポリなんちゃら、どこが違うの?
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今回実験してみた3種のコンデンサ
どれもブレッドボードに刺しやすいラジアルリード品です。以下写真上から
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- ポリスチレンフィルム
- ポリエステルフィルム
- 積層セラミック
です。いずれも容量は0.01μF品ですが、体積は随分違います。
コンデンサの「モデル」と周波数特性
コンデンサ素人があれこれ言っても仕方がないので、コンデンサ業界、とくにセラミック関係では断トツの村田製作所様の解説ページのURLを貼り付けさせていただきました。
どこのコンデンサメーカさんも、コンデンサの等価モデル的なものを使って解説されているのですが、CとESR、ESLだけの簡略化したものあり、CとパラにRpを入れたものありとメーカによって(想定の読者様によって)モデルはいろいろです。その中にあってコンデンサメーカではないですが、アナログの権化、アナデバ様の以下ドキュメントのモデルが一番詳しいじゃないかと思います。
モデルを引用させていただきます。
そうか、便宜的なものか。。。
インピーダンスメータで測定
まずはAD2のインピーダンス「メータ」機能で測定しています。インピーダンス「メータ」は1点、1kHzにての測定です。冒頭のCsのところがコンデンサの容量です。0.01μF=10nFでございます、念のため(なぜかは知らねど日本ではμF単位が好まれ、nF単位と混在してます。気になって夜も眠れない。。。)
比較ポイントになりそうなRsのところに黄色マーカを引いておきましたぞ。
積層セラミック
ポリエスエル・フィルム
ポリスチレン・フィルム
Rsは、ポリスチレン<ポリエステル<積層セラミック の順になるのね。
インピーダンスアナライザで周波数特性を比べる
さてお楽しみの周波数特性です。3種それぞれ測定したものを重ね合わせたプロットが以下に。
中央のXsがまさにキャパシタンスをあらわすカーブですが、3つとも同一容量であるので、共振点付近でばらける程度で、低い周波数ではほぼほぼ重なってます。一方下にあるのがRsです。積層セラミックは深い谷のない独特なカーブですが、フィルムコンデンサの2つは共振点より下に深い谷があります。また、ポリスチレンフィルムが値が小さいのですが、10kHz付近になにか谷があるようです。一方ポリエステルの方はカーブはなめらか。低い周波数では積層セラミックより小でよい感じですが、周波数が高くなる(ちょうと音声周波数の上限付近?)で逆転と。
コンデンサと並列に入るRpもプロットしてみてます。こちらはポリスチレンフィルムが一番デカいです。ということはリーク電流が小さいってこと?ただしカーブは滑らかではなく先ほどと同じ10kHz付近に山があります。ポリエステルフィルムは低い周波数では積層セラミックより大ですが、周波数が高くなる(ちょうと音声周波数の上限付近?)と積層セラミックにまける感じっす。
キャパシタンスの周波数特性を念のため以下に。3種とも2~3MHzくらいまではほぼ平。その先の共振点付近ではばらける感じ。
今回は、インピーダンス・アナライザ機能でみえる部分だけだったけれど、温度がどうだとか、経年劣化とか、考えなければならないことがいろいろあるでよ。